月草雑記帳

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竹華


竹華「復讐」一騎打ち』


やっと書けたーーーーー!!
竹華榊原編最終幕です!!良かった年内に書けて!


とある人物が相変わらず大暴れです。うん、使いやすいったらない(当たり前)。
「竹華」の過去編を読んでいない方の為に解説しておくと、登場するのは「梨羽伸一」さん。殿の幼い事を知る数少ない人物です。
実はこの人、私の中でとある矛盾を抱えてました。


「殿の正体を知ってるのか?」


という真剣の根源に関わることが曖昧だったんです…私の中では設定があったから気付かなかった…。
そのうちキャラクター表でも作ろうと思うのでそのときまた解説しますが、知ってるのかどうかは多分コレ読んでいただければなんとなく推測できるかと…


とりあえず、sinさん、長い間お待たせいたしました。
まとまったかどうか微妙ですが、よろしければお読みくださいませ。








「復讐」一騎討ち』


 それは、寒い風が吹く冬の事だった。
 小学校の帰り道、一人坂を上っていた俺の後ろから声がする。
 振り向くと、見たことのない男性がこちらに向かってくるのが見えた。
「…あの、この先なんにもないけど。」
「ああ、悪い。ちょっと家を探してて。榊原さんってこの辺にいないかな。」
「…俺の家だけど…兄ちゃん、誰?」
 その言葉を聞いて、その兄ちゃんはほっと笑った。
「あ、やっぱりそうか。はじめまして…でいいか。俺は梨羽伸一。榊原藤次さんと…君に用があって来たんだ。」
「?俺に、用?」
「ああ。とりあえず家まで連れてってくれないかな。寒くてしょうがないや。」
 多少以上に怪しいとは思ったけど、悪い人には見えなくて、俺は家までその人を連れていった。


「…ヒロ。誰だソイツは。」
 俺が帰るとじいちゃんが顔を思い切りしかめた。知り合いじゃなかったのか?
「お久しぶりです…っていってももう相当前だからなー…」
「押し売りならお断りだ。」
「そうじゃなくて…」
 ちらりと俺の方をみてから、兄ちゃんが言う。
「梨羽伸一と言います。昔は父がお世話になりました。近くに寄ったので、線香をあげさせてほしくて。」
 ぴく、とじいちゃんの眉が動く。
「ヒロ。手を洗って宿題をしてこい。」
「…はーい。」
 俺はおとなしく従う事にした。ここでもめたらおやつがもらえないかもしれない。
 ランドセルを背負ったまま走る。後ろから微かに聞こえてくる声がとっても気になる。
「…志葉の、殿さま…?」
 どこかで聞いた様な、でもあんまりよく知らない話のようだった。
 俺はなんとかして立ち聞きしてやろうと、全力で宿題を終わらせて客間に走った。
「じいちゃん。」
 客間の襖を開けるとじいちゃんが不機嫌そうにこちらを見た。
「ヒロ。宿題は」
「終わったよ。なあ、なんの話してんの?」
「お前には関係ない。」
「そんなことないだろ!?」
 すがるように兄ちゃんを見る。兄ちゃんは苦笑して手招きしてくれた。
「ま、座れよ、ヒロ。俺は梨羽伸一。俺の親父とお前の父さんは昔友達だったんだ。」
「父さんの?」
 父さんの事はよく覚えてない。昔事故で死んだってことくらいしか知らないし…。
「父さんの事知ってるの?」
「あんまり詳しくは無いなー。写真くらいは家にあったけど。」
「…梨羽とやら。用がすんだのならとっとと帰れ。」
 ふとじいちゃんを見る。一番機嫌の悪いときの顔をしていた。
「ああ、すいませんお邪魔しました。じゃ、ヒロ、またな。」
「…うん。」
 一体何の話をしていたのだろう?兄ちゃんは曖昧に笑って家を出ていった。
 じいちゃんはそのまま何も言わずに奥に引っ込んだ。これは…やるしかない。


「兄ちゃん!」
 山を半分くらい降りていた兄ちゃんに追いつく。都会育ちっぽい割に頑丈な兄ちゃんだ。
「ん?どうした?」
「あのさ…何の話してたんだ?」
 息を整えながら聞く。
「…あんまり詳しくは言えないな。藤次さんに釘刺されたし。」
「やっぱり、『牛折神』のこと?」
 顔をあげて、俺は一気にまくしたてた。
「俺の家に昔から伝わる折神で、制御できなくてっていうことしか教えてくれないんだ。でも俺もう子供じゃない。…モヂカラでできることだって、知ってる。」
 最後を少し誤魔化したのは、もしかしたらこの兄ちゃんが何も知らないかもって思ったからだ。
 兄ちゃんはしばらく考えた後、道に在った岩に座った。
「そっか。じゃ、話すよ。じいちゃんには内緒にしろよ。」
 俺は頷いて隣に座る。そして、兄ちゃんは話し始めた。
 自分は志葉家の遠い親戚にあたること。
 自分の父親と俺の父親は大学時代の先輩後輩で、もう一人の男の人ととても仲が良かったこと。
 三人で、とある一つの夢を持っていたこと。
 それを自分は幼いころ、角笛山でモヂカラを教わりながら聞いたこと。
 そしてその夢が叶うことなく、二人はもういないこと。
 志葉家には今、お殿様がいること。
 その殿様はとっても強くてとってもかっこよくて、とっても賢い事。
 そして、力を必要としている事。
 そんな内容を俺にもわかりやすく、淡々と語ってくれた。
「…だから俺は、牛折神が制御できるなら殿様に渡してほしいって、言いに来たんだ。」
 断られたけどな、と兄ちゃんが苦笑する。
「…じいちゃんは、なんで断るんだろう。」
「…さあな。でもま、昔からあんな感じの人だった気がするけど。俺がモヂカラ教わりに来た時も『なんていかついジジイなんだろ』って思ったし。」
 はは、と笑ってから兄ちゃんは続ける。
「俺は侍じゃないし、モヂカラもほとんど使えない。…なんか殿様の役に立ちたかったんだけどな。」
「…殿様の、役に…」
 まだ見たことのない「殿様」とは、一体どんな人なんだろう。
「俺も、殿さまの役に立てる?」
 ん?と兄ちゃんは首を傾げた。
「俺、モヂカラ好きなんだ。なんか楽しいし…そりゃ、シンケンジャーにはなれないけど…でも、モヂカラで殿様の役に立ってみたい。」
 それはただの思いつきで、好奇心のみでの発言だった。
 そして兄ちゃんは、静かに微笑んだ。
「ああ。いつか絶対役に立てるよ。」
 それから住所をくれて、兄ちゃんは山を降りて行った。
 俺は兄ちゃんの言葉を胸に、牛折神とモヂカラに夢中になる。
 その努力と父さんたちの夢が叶うのは、それからもう少し先の話だ。

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