月草雑記帳

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百年文庫大作戦


百年文庫大作戦「冥」


今晩は寒いです。紅葉が綺麗でしたが霙っぽいものが降りました。どうせなら雪と紅葉のコラボが見たいと思った私はやけくそです。


さて、百年文庫大作戦、今回は80、「冥」に挑戦です。一気に数字が飛びましたねえ。
ちなみに漢字の意味は「くらい」「よる、やみ、くらがり」「ふかい、奥深いところ」「目に見えない、神仏の作用についていう」「目を閉じる、思いにふける」だそうです。
では早速一言感想。今回は全部海外作品です。


「バイオリン弾き」メルヴィル
 なんか不思議な話でした。「雨ニモ負ケズ」を何故か思い出した。妄想が膨らむお話でした。

「夢の国」トラークル
 こっちも不思議さなら負けてない。この淡い初恋感がとても好き。いやどこにも初恋だなんて書いてないけど。

「にぎやかな街角」H・ジェイムズ
 一番長かった。いやしかし…これも不思議な話だった…自分ってなんだろうねえ?


今回の共通点は「不思議な話」かなあ?「冥」っていう漢字自体もなかなか難しいですよね。
なんか、「間」と「不思議」がテーマな気がしました。
さて今回の短編。ポエム調にしてみましたがいかがでしょうか。あ、タイトルの漢字は間違えてませんので。辞書で出たもん!



「冥想にふけり」


あの星のことを考えていた。
予想され、発見され、名付けられ、そして議論された、あの星のことを考えていた。
いつになく暗い世界に、朔の日だと気付く。
我が物顔で宇宙を照らす月が姿を見せない。それだけで世界がこんなにも暗いのならば、やはり月は夜の女神なのだろう。あちこちにいるはずの星達はさしずめ美女を求める男達か。女神がいない間はこれ幸いと光を落とす。見ていないところで輝いてこそ星であり、だからこそ女神も星の前に現れるのではなかろうか。
しかしこれは有り得ない妄想だ。あの星には何の関係もない。


あの星のことを考えていた。
星は世界の果てではない。世界は果てしなく、星は銀河系の一部に過ぎない。
しかし星は決して近くはない。おそらく現在この星の上に足を置いているもの全員が星に辿り着くことなくその命を終えるだろう。
近くはなく、遠くもない。
それは視点、観点が違うからであることは間違いない。生物から見れば遠く、宇宙から見れば近い。
とどのつまり一体何だというのだろう。
そもそも近いか遠いかなどと、議論するだけ時間の無駄だ。あの星には何の関係もない。


さあ。
夜は深くて朝は遠い。
星は深くて星は遠い。
闇に沈んで両手を広げよう。
両足を身体から解放し、重力から自由になろう。
手も足も頭も胸も全てを同じ高さに置こう。
全ての機能をその役目から解放しよう。
見なくていい。
聞かなくていい。
嗅がなくていい。
味もなくていい。
感じなくていい。
ただ、心だけは失くしてはならない。
心で総てを受け止める為に。
心で総てを生かす為に。
心で総てを保つ為に。
心ひとつをともにして。
さあ。
さあ。
さあ。
朔の夜は星が美しい。
科学の進歩は目覚ましい。
それでも。
それでも。
それでも。
心ひとつをともにして。


あの星のことを考えていた。
死の王ともいうべく恐ろしい名をその身に飲み込み、君臨する。
死の王とは何者か。かの有名な神話に現れる全知全能神の兄か。あるいは小さな島国の神話に現れる総てを生み出しし女神の末路か。
生きとし生けるものの誰もが逃れることの出来ないその総てを受け止める冥界という器。そしてそこでただ独り、王と呼ばれし存在。
それは気高くもあり、醜い。そして憧れであり、穢れである。孤独であり、総てが在るその存在は、何者によっても揺るぐことなど許されない。
生きる者の中に死に浸かった者は無い。総ては死後の楽しみだ。
あの星には何の関係もない。


光と闇と近と遠と生と死の狭間に君臨する。
そう、あの星のことを考えていた。


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