月草雑記帳

スポンサー広告


スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



TB(-) | CO(-)  *Edit

伝謳交響曲


第一楽章「めざせTMホール」5話


こんにちは。風邪ひいて寝込んでました。
とは言っても自覚症状が少ないので周りから「寝ろ」と言われて寝てたんですけどね。あんだけ寝れたってことはやっぱり疲れてたんでしょうか。
そんなこんなで更新に時間がかかってしまいました。なんてこったい。


ここから先は本編のお話~
前回予告したとおりイマジンが歌った歌の答え合わせでございます。
モモの歌はときおさんのあんびしゃす・じゃぱん。新幹線のテーマってところと歌詞に惹かれて。
浦はすぴっつさんで君がいるだけで。なんとなく2番の歌詞がツボでした。
きんはふくやまさんカバーのふぁいと。サビだけで決めました。
りゅうたは宅急便でおなじみのるーじゅのでんごん。ぶっちゃけ、「汽車」って入ってたからです。あとはリズムかな。
一応、全部の歌詞に「電車」的キーワードが入ってるんです。よかったら探してみてください。


では、ファーストライブ最後の曲です。
よろしければ、お楽しみくださいませ。




『めざせTMホール』5話


 ステージの奈落が上がったかと思うと、そこの現れたのはドラムセットとマイクスタンドだった。
 色とりどりなそれらを、観客は物珍しげに眺めている。
 そこへ、一人の少年が現れた。服装はどこにでもありそうなセーターとズボン。黒髪黒目の、特に印象にも残らなさそうな、平凡な少年だ。
 その少年は、マイクを持つと、ステージの中央で正面を見た。
「こんにちは。今日は、来てくれてありがとうございます。これから、最後の一曲を始めたいと思います。でも、その前に、僕の話を聞いてください」
 その少年…良太郎は小さく息を吸い、まっすぐ前を見ながら話し始めた。
「先ほどまでの演奏も、歌も、すべてイマジンが行ったものです」
 その言葉に、観客の中にざわめきが漏れる。
「歌う時は僕に憑依していて、演奏は裏の、見えないところでやっていました」
 良太郎は一瞬後ろを振り返り、それからまた話し始めた。
「これから、みんなは本当の姿でこのステージに立ちます。どうぞ、最後まで聞いて行ってください」
 深々と頭を下げると、良太郎は舞台裏へと戻っていった。


「良太郎…」
「はい、モモタロス」
 汗のにじんだマイクを、良太郎がモモタロスへと向ける。
「行ってらっしゃい」
「…おう!」
「…じゃ、いきますか」
「せやな。今日ここまでの集大成や」
「最後までクライマックスだもんねー!」
「小僧!それは俺のセリフだ!」
 マイクをつかみ、ギターをガチャガチャ鳴らしながら、モモタロスはステージへと飛び出した。
「行くぜ行くぜ行くぜーーーー!!!」
 ステージに飛び出してきた赤いイマジンに、観客は一瞬怯むような表情を見せた。
「俺、参上!」
 姿勢を低く、両手を広げるポーズをとり、モモタロスが大きく肩を回す。
「ほら先輩、どいて!」
 そんなモモタロスを後ろから突き飛ばし、ウラタロスは右手のマイクを構える。
「こんにちは。僕達に釣られてくれる?」
「俺らの歌は泣けるで」
 ずしずし歩いてきたキンタロスはドラムセットの前にどっかりと座り込み、首を鳴らす。
「僕たちの歌、歌ってもいいよね?答えは聞いてない!」
 それぞれがマイクやスティックを構え、短いイントロを聞いて歌いだす。
 一番後ろに座っていた女性客は、しばらく他の観客の様子を見ていたが、やがてステージに集中し始めた。
 右側に座っていた黒服の男の子は、呆けたように舞台を見ている。中年男性二人も居心地悪そうに座っていたが、席を立とうとはしなかった。二人組の女性客はイマジン達の動きがツボにはまったらしく笑い転げ、カップルはぽかんとして辺りと舞台を見ていた。
「Climax jump!」
 最後まで歌を歌いきり、全員が荒い息を整えながら深く頭を下げる。
 最初はパラパラと、少しずつ拍手は広がっていき。
 小さいながらも座っている観客、立ち見客の全員が手を叩いていることに気が付き、イマジン達はようやく頭をあげた。
 そして再び大きく頭を下げると、ステージの裏へと戻っていった。
 

「これ…成功なのか?」
 バックステージへと戻り、ギターを置いたモモタロスが、恐る恐る、というようにハナを見た。
「何言ってんのよ。結局座ってくれていたお客さんほとんどいないし、途中で出ていった人もいるし、立ち止まってくれなかった人の方が圧倒的に多いじゃない。こんなの成功じゃないわよ」
 ずばずばと言い放つハナの言葉に、イマジン達は胸を押さえてうずくまった。
「でも」
 そういうと、ハナは小さく笑って見せた。
「前回よりはマシじゃない。成長したと思うわ」
 その隣で、良太郎も優しく微笑んだ。
「みんな、お疲れ様。ナオミちゃんが、打ち上げの準備して待っててくれてるよ」
「良太郎、それマジか?」
「わーい打ち上げー!」
「よっしゃ、食べるで!」
「女の子のお客さん、誘ってもいいのかな?」
「こら!あんた達、まだ後片付けが残ってるでしょうが!」
 ハナの一喝に、イマジン達はしぶしぶ片付けを始めた。


「えーそれでは、ライブの成功への道に向けてー?」
「「「「「「かんぱーい!」」」」」」
 カチンカチン、とグラスがぶつかり合う音がする。イマジン達はアイスコーヒーを飲みほし、我先にと料理にかぶりついた。
「良太郎、ありがと」
「ううん。大したことしてないし」
 イマジン達を眺めながら、ハナと良太郎は隅の席へと腰を下ろした。
「うまくいって良かったね。ハナさん」
「成功だ、なんて言ったらまたすぐ調子に乗るから言えないけどね」
「…これから、どうなると思う?」
 一口飲み物を飲み、ハナは呟くように言った。
「ま、なんでかわかんないけどこいつら意外と歌は上手なのよね。だから…なんとかなるんじゃない?」
「良太郎ちゃんが、歌が上手だからじゃないですか?」
 ナオミの言葉にハナは納得したように頷き、良太郎が苦笑する。
「関係あるのかな…」
「さあね。でも良太郎、本当によかったの?こんな風に呼び出して」
 良太郎が口を開く前に、ウラタロスが両手に皿を持ってハナの隣に座った。
「ああ疲れた。それにしても納得だよ。ハナさんの秘策って、良太郎のことだったんだね」
 皿をテーブルに置き、ハナの左肩に伸びる手を叩き、ハナは「まあ、ね」と呟いた。
「確かに、良太郎に憑依すれば、俺らが歌っとるのにイマジンやないことになるな」
「良太郎、来てくれてありがとー!」
 ピョンピョン跳ねるリュウタロスに、良太郎は曖昧な笑顔を見せた。
「おい良太郎!さっさと食わねえと食いそこなうぞ!」
「あ、うん」
 料理を取るために立ち上がった良太郎を、ハナは訝しげに見ていたが、軽く頭を振ると手に持っていた飲み物を飲みほした。
「ハナさん、料理、こんな感じで良かったかな?」
「あ、ありがと」
 ウラタロスから料理が盛られた皿を受け取り、ハナはフォークを手に取った。
「あ、あんた達。明日からまた特訓だからね」
「ああ?またかよ?」
「えー?」
「もう始めるの?」
「一日くらい休ませてーな」
「もー、あんた達、そんなだからダメなのよ!」
 いつも通りの説教が始まる中、良太郎とナオミは顔を合わせて、笑った。

スポンサーサイト


TB(0) | CO(0) *Edit

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
 ◆Home  ◆作品*  ◆All  ◆通常ブログ画面  ▲PageTop 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。