月草雑記帳

スポンサー広告


スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



TB(-) | CO(-)  *Edit

伝謳交響曲


第二楽章「譲れない想い」5話


こんばんは。
なんだかいんたーねっとえくすぷろーらーさんの調子がよろしくないそうですね。
私はそういうの、さっぱりわからない人なんですが、先ほど母上が慌てて何やら設定しに来てくださいました。
よくわかりませんが、とりあえずしばらくあんまり使わない方がいい?みたいなので、伝謳交響曲置いときます。GW中は遊びまわる予定ですし。


ちょこっと久しぶりの第二楽章。時間が進んで、秋のお話です。
今回はちょっと、つなぎのお話って感じがしますね。あんまり進まない…いや、そうでもないか。
とりあえず今回は、読み終わった後に「おいコラ侑斗!」と言ってもらえるといいなあ~というようなお話です。
正直、6話をかくのがとっても楽しみですが…矛盾とかしそうで怖いなあ。しかも恋愛もの苦手なんだよな私←なぜ書いてる
あ、でも6話は時間軸の都合上、第一楽章の新シリーズが終わってからになるんじゃないかな?新シリーズが長引きすぎたらまた考えるけど…


何はともあれ。
私の中で、2009年秋ごろはこんな感じです。
よろしいかたのみどうぞです~






『譲れない想い』5話


「愛理さんこんにちはー」
「あら、皐月君。いらっしゃいませ」
 お土産だと言って差し出したコスモスを、愛理は嬉しそうに受け取った。
「いつもありがとう、皐月君。花瓶に生けさせてもらうわね」
「売れ残りなんで気にしないでください!」
 愛理の笑顔に心行くまで見惚れてから、皐月はぐるり店内を見渡した。
「あれ?また来てないの?侑斗のやつ」
「そうなの。大学が忙しいみたい」
 青い花瓶にオレンジ色のコスモスが揺れる。カウンターの一角に花瓶を置き、愛理は珈琲豆の入った瓶に手を伸ばす。
「愛理さん!俺、いつもの!」
「はい。かしこまりました」
 からんからん、といつもの鐘の音がする。一瞬目線を上げ、愛理は入口に微笑みかける。
「あら、紀常さん。こんにちは」
 その時わずかに指先が震えたことに気付いてしまった皐月は、大きく天井を仰いだ。


「侑斗!」
 聞いたことのある声に足を止める。辺りを見回すと、クリーム色のエプロンをつけた青年が大きく手を振っているのが見えた。
「皐月?」
 こっちへ来いと手招きする皐月に、侑斗は一緒に歩いていた同級生に簡単に事情を説明し、別れた。じっと皐月を見て、軽く眉をひそめる。
「お前…なにやってるんだ?」
「何って、バイトだよ。ほら」
 皐月がエプロンを見せる。エプロンには『フラワーショップ』という文字が躍っていた。
「ああ…いつも持ってくる花はここから来てんのか」
「そ。親戚の店だし社員割りだしで、すっげー安く手に入って…じゃない!侑斗、お前こそ何やってんだよ!」
「…この近くに大きな図書館があるだろ?そこへ調べ物をしに来ただけだ」
「そうじゃなくって!なんで最近香緋屋来ないんだよ?」
「なんでって…授業も山ほどとってるし学祭も近いから」
「愛理さんのことはもう諦めたのか?」
 ストレートな言葉に、侑斗は返事に詰まる。
「お前が来ないうちにも、紀常のおっさんは地道に通い詰めてるし…俺一人なんか邪魔者みたいでさー」
「…あの人の中にいるのは、俺じゃない」
 は?と眉をひそめた皐月に、侑斗は小さくつぶやいた。
「邪魔者はお前だけじゃない」
 ますます眉間に皺を寄せる皐月に、侑斗は背を向けた。
「待てよ!今からあの店行くぞ!」
「は?」
 ガッツリと右手で侑斗の肩を掴み、皐月は器用にエプロンを外した。
「今日もうあがって良いー?エプロン此処置いとくから」
「いいよー。給料は覚悟しときな」
 奥から聞こえてきた女性の返事に軽く舌うちすると、皐月は迷惑そうな侑斗を引きずって駅へと向かっていった。


「愛理ちゃん、お願いがあるんだけど」
「なんでしょう?」
 振り返り、微笑む愛理に、紀常は静かに口を開いた。
「付き合ってくれないかな?」
 その言葉に侑斗は持っていたスプーンを落とし、皐月はクッキーを喉に詰まらせた。
「お店がお休みの日なら構いませんけど…」
 愛理のその返事に、侑斗は拾ったスプーンをもう一度落とし、皐月はゲホゲホと急き込んだ。
「ありがとう。一日だけでいいんだけど」
「どこに行くんですか?」
「上司に贈り物がしたくてね。女性の意見を聞きたくて」
 穏やかに話し続ける二人を、皐月は横目で見ながらつぶやいた。
「あー…びっくりした」
「あの人は、ああいうところ、あるから…」
「ああいうとこってどういうことだよ」
「店に置いてある花束を忘れ物だと思ったり…」
「あー、それ見たことある。昔から、席にあるプレゼントとかを『忘れ物ですよ』って手渡してた…」
 しばらく無言が続き、それから侑斗が立ち上がった。
「あら、桜井君、もう帰るの?」
「…これから、バイトがあるから」
「新しく始めたの?」
「家庭教師、を」
「桜井君賢いものね。頑張ってね」
 ぺこり、と頭を下げて侑斗が店を出る。
「愛理さん、お代わりくださーい」
 皐月の声に、愛理は微笑んで冷蔵庫に向かう。
「はい、どうぞ」
「ありがとー。それにしてもさっきはビビったー。愛理さん、紀常…さん、と付き合っちゃうのかと思った」
 からかうように言った皐月に、愛理はお盆を胸に抱き、きょとんと首を傾げた。
「?何か、ダメかしら?」
 その言葉に、皐月はもう一度喉に飲み物を詰まらせた。


「あ!侑斗ーおかえり!」
 自室のドアを開けると、そこにいたのは見慣れた怪人。
 狭い台所でに割烹着姿で、いそいそと鍋の中身をすくっている。
「今日は牛肉が安かったから肉じゃがだぞー」
「なんでいるんだよ、デネブ」
「いやー、今日から新しいアルバイトだから、疲れたんじゃないかと思って」
「…まあ疲れたけど」
 鞄を放り出して、机の前に座る。
「あ、手を洗ってからだぞ」
 侑斗が無言で立ち上がり、洗面台に向かう間に、デネブは味噌汁とご飯を机に並べた。
「はい、どうぞ」
 しばらく黙って食べていた侑斗は、途中で箸を止め、じっとデネブを見た。
「?侑斗?どうした?」
「デネブ…」
 少し視線を泳がせて、それから箸を置き、座っていたデネブにラリアットを食らわせる。
「シイタケ入れてんじゃねえー!」
「なんでばれたんだー!侑斗!ごめん!ほら、ご近所に迷惑だから!」
 デネブの言葉に、侑斗はデネブの頭をはたいてから、机に戻った。
 その表情が帰って来た時よりも晴れやかに見え、デネブはこっそり安堵の息を漏らした。

スポンサーサイト


TB(0) | CO(0) *Edit

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
 ◆Home  ◆作品*  ◆All  ◆通常ブログ画面  ▲PageTop 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。