月草雑記帳

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伝謳交響曲


第一楽章「ディアーハート」1話


こんにちは。今日から大型連休後半だそうですね。
去年は仕事づめの連休でしたが、今年はしっかり休みを取りました~。
今日は一日うろうろ出かけておりましたが、明日はひきこもるかもしれない。寂しい連休だ…
あ、でもラスト2日は遊ぶもんね!多分!


というわけで(どういうわけだよ)、伝謳交響曲の新シリーズをしれっと始めさせていただきます。
以前も書いたことがありますが、ここからは伝謳交響曲の「枝」の部分。多少の時間軸には目をつぶって、ストーリーを追いかけていきたいと思います。
第一楽章ということで、主役はイマジン。『ディアーハート』の主役は…読めばわかりますが、あのイマジンです。
『ディアーハート』はもう、思いついた瞬間から書きたくて書きたくてしょうがなかった物語ですので、さくさく進むことを…信じております(苦笑)。目標、5月前半中に終了!


ここであまり語るのも野暮というものでしょう。どうぞ、興味のある方のみお楽しみください。
あ、一応補足しときますが、「めざせTMホール」5話の続きです勿論!







『ディアーハート』1話


 セカンドライブは、ファーストライブの丁度一か月後と決まった。
『あんまり期間空けちゃうと、忘れられちゃうでしょ!』というハナの言葉で、イマジン達は再び、膨大な曲の中からライブに使う曲を探し始めた。
ある程度曲を絞れていたウラタロスはその途中、市場調査を命じられ、ターミナルの中をぶらぶらと歩いていた。
「市場調査って言われても…そう簡単にはいかないよねえ」
 当てもなく歩きながら、ウラタロスは呟き、首を傾げた。
「まあ、お笑い要素は先輩に任せておけばいいんだから。僕は女の子たちからお気に入りのラブソングとか教えてもらおっかな」
 モモタロスが聞いていれば確実に一波乱起こしたであろうセリフを言いきって、ウラタロスはターミナルの案内板の前で足を止めた。
「ってことは、まずはオシャレなカフェとか探さなきゃね」
 誰も見ていないにも関わらずウインクを飛ばし、ウラタロスは辺りを見回した。
「あそこがいいかな?」
 ウラタロスが見つけたのは、観葉植物が飾られた小さなカフェテリア。混み具合を確認して、ウラタロスはゆっくりとカフェに近づいて行った。


「すみません」
 その声に、4人掛けのテーブル席に座っていた女性二人が顔を挙げる。
「え…」
 声の主を見て、驚いたような顔をする女性達に、声の主ことウラタロスは小首を傾げて話しかけた。
「すみません、飲み物を買ったんですが、ちょうど席がいっぱいになってしまって…相席にしてもらってもいいですか?」
「イマジン…?」
「でも、どこかで」
「ああ、そういえば、この間ライブに来てくださった方々ですよね?」
 その言葉に、女性客二人の表情が軟化する。
「ああ、あの時のライブの」
「あの時はありがとうございました。隣、座っても?」
「ええ、どうぞ」
「それにしても…僕の前に並んでいたお客さんに感謝しないと」
「え?」
「だって、その人たちが席をいっぱいにしてくれたおかげで、こんなに可愛い女の子たちと一緒に座れたんだからね」
 軽く言ったウラタロスに、女性客二人はクスクスと笑いあった。
「笑うなんてひどいなあ、本気なのに。僕はウラタロスっていうんだけど、君たちは?」
「アヤです。あはは、イマジンって、結構おもしろいんですね」
「私はミナです。この間のライブも、踊りはアレでしたけど、歌は素敵でした」
「そう言ってもらえると嬉しいです。アヤちゃんとミナちゃんは、旅行中?」
「いえ、私たちはこの近くの保育所で働いてるんです」
「へえ、ターミナルにも保育所があったんですか?知りませんでした」
「ターミナルには時間から零れた子供達もいますから。そういう子たちの面倒を見る場所なんです。と言っても、今そんな子は一人だけで…あとはみんな、親が遊んでいる間に一時的に預かっている子ばかりです」
「へえ…働いている二人の姿、見てみたいな」
 雑談をしばらく続けたあと、ウラタロスは女性客二人の職場へと訪れた。


「へえ…結構自然豊かなんですね」
「でしょう?みんなー、今日はお客さんが来てくれたわよー!」
 アヤが声をかけると、十人ほどの子供が一斉にウラタロスを見た。
「なにあれー」
「へんなのがいるー」
「せんせー。あれなにー?」
「…えっと、見たことないけど…怪人のコスプレかしら?」
 赤ん坊を抱えた年配の女性が、ミナとアヤにこそっと耳打ちする。
「あ、園長。えっと…イマジンなんですけど、悪い人じゃないみたいで」
「貴方たち…悪い人じゃないって、そんなに親しい仲なの?子供たちに何かあったら」
「初めまして。お姉さん。僕の名前はウラタロス。見た目は怪しいかもしれませんが、中身は普通ですよ。ああ、もし信用できないようなら、ピアノをお借りしてもいいですか?」
 園長の手をとるウラタロスに、園長はぽかんとしたまま頷いた。
「では、ちょっと失礼して」
 さっさとピアノの椅子に座ると、軽く調律を確認して、かろやかなリズムを奏で始めた。
「あー、この歌、知ってる!」
「僕も!」
 ピアノの周りに集まり、楽しげに歌い始める子供たちを見て、園長は大きく息をついた。
「まあ、いいでしょう。何か不審な動きをしたら、すぐに時間警察を呼ばせてもらいますので」
「ええ、勿論構いません。ただ、女の子のハートを盗ませてもらうのだけは、見逃してくださいね」
 演奏の手を止めて堂々と言い放つウラタロスに、園長は少しだけ微笑みかけた。


 子供達のリクエストに応えて何曲かの曲を演奏する。
 5分もすると大半の子供達はピアノに飽き、それぞれの遊びへと戻っていった。
「さて、僕もそろそろ本題に…」
「もう終わるの?」
 その声に、ピアノから顔をあげ、後ろを振り返る。
 ぬいぐるみを抱えた小さな女の子が一人、ぺたりと床に座ってピアノを見上げていた。
「こんにちは。聞いてくれてどうもありがと」
 ウラタロスが声をかける。少女は顔をあげて、じっとその姿を見た。
「…変なカッコ」
「そう?僕は結構気に入ってるんだけど?」
 くすくす、と少女が笑う。ウラタロスは少女と目線を合わせるよう、椅子から降りるとしゃがみ込んで首を傾げた。
「こんにちは。僕はウラタロス。君のお名前は?」
「あーちゃん」
「あーちゃん、か。いい名前だね。ひとり?」
「うん」
「誰かと旅行してる…ってわけじゃなさそうだね。どうしてここにいるの?」
「知らない」
 簡素なワンピースに大きな瞳、年の頃は5歳程だろうか。黒くまっすぐな髪が、よく知る誰かを連想させた。
「ピアノ、好きなのかな?」
「うん」
「じゃあ、リクエストにお応えしてもう少し弾こうかな。何か聞きたい歌、ある?」
「うん」
「どんな歌?」
「わかんない」
「…そっか。じゃあ、僕の好きな歌でもいいかな?」
「いいよ」
 ウラタロスがまた椅子に座り、ピアノを奏でる。
 その歌が終わるまで、『あーちゃん』は身動き一つせず、じっとピアノを見つめていた。

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