月草雑記帳

スポンサー広告


スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



TB(-) | CO(-)  *Edit

伝謳交響曲


第一楽章「ディアーハート」2話


気づいたら前回更新から結構経ってた…なぜだろう。
今日は一日電王動画漁ったり電王CD聞きまくったりしておりました。やっぱり電王好きだ…
こんな電王好きが世界のどこかにいて、伝謳交響曲楽しんでくれたらいいのになという超・無謀な願いが改めて湧きあがりました。


さて、ディアーハートも2話目でございます。
1話を読んでくださった方はわかると思いますが、ウラタロス編でございます。
自他共に認める女たらしのウラタロスと、小さな少女との交流を楽しんでいただければ幸いです。
ディアーハートはイマジン編の中でも一番に思いついたもので、いっそこれを書きたくて他のイマジンの分まで考えたと言っても過言ではないくらい思い入れがあったりします。
本編のようなほっこりするお話を目指しておりますので、よろしければおつきあいいただければ幸いです。


どうでもいいですが、なんとなく図書館で詐欺師の本を借りてしまいました(笑)。身に付いたかどうかは知らない。
さて、どれくらいのボリュームになるかはよくわかりませんが。とりあえず2話でございます。
気になる方のみどうぞです!






『ディアーハート』2話


「今日はありがとうございました」
 ウラタロスが保育園に来てから数時間。
 ピアノを弾き終わった後も子供と遊んでいたウラタロスは、ほとんどの子供が親もとへと帰って行ったのをきっかけに、小さな応接室へと通された。
 中にいるのは園長とアヤ。ミナは残っている子供の世話をしており、その中にはもちろん、『あーちゃん』の姿も見られた。
「僕も楽しかったです。それで、あの子は…」
「あーちゃん、ですよね?」
 アヤはちらりと園長を見る。一拍おいて、園長が口を開いた。
「隠すことでもありません。あの子は時間から零れてしまった子、彼女がどの時代に生まれて、誰と共に生き、どんな人生だったのか。知っている人は誰もいないようです」
「そうですか。…あーちゃんはピアノが好きなんですね」
「ええ。私もよく弾くんですけど、いつもじっと聞いてくれて…でも、私はまだあーちゃんの好きな歌にたどり着いていないみたいなんです。あーちゃん、いつもなんだか不満そうな顔をしているんだもの」
 寂しそうに言うアヤに、ウラタロスも頷いた。
「僕もいろいろ弾いてはみましたが…」
「せめてどの時代の子供なのかが分かれば、考えようもあるんだけどね」
「…アヤ先生。そろそろ時間ではないですか?」
 園長がアヤを促し、立ち上がる。
「そうですね。では、ウラタロスさん。今日はありがとうございました」
「いえ。…また、来てもいいでしょうか?」
 上目づかいに園長を見るウラタロスに、ふ、と笑って園長は答えた。
「ええ。時間警察に通報する用意はできていますから。いつでもどうぞ」


「こんにちは」
「あ、うらた」
「ウラタロスだってば。変なところで止めるのやめてよあーちゃん」
 ポンポン軽く頭を撫でると、あーちゃんは嬉しそうに笑った。
「今日は何弾いてくれるの?」
「いろいろ一応勉強しては来てみたよ。あーちゃんのお気に召す曲があればいいけど」
 青色の分厚い指が鍵盤を滑る。ターミナルの中の保育園で、その姿は既に珍しいものではなくなっていた。
「ごめんなさいね、いつも新しい曲を勉強してきてくださって」
「いえ。ライブ準備のついでですから」
 アヤにもらったお茶を飲みながら、ウラタロスは初めて保育園に来た子供を案内しているあーちゃんを見ていた。
「あーちゃんったら、新しい子の前だからお姉さんぶっちゃって」
「かわいいですよね」
 何もわからないままに懸命に生きようとしている姿に、昔見た小さな背中が重なって見えた気がした。
「なんだか、ほっとけないんですよね。僕の知り合いに似ていて」
「ウラタロスさんが来てくださってから、あーちゃんも楽しそう」
「せんせーおなかすいたー」
 一人の男の子がアヤの服の端を引っ張る。「おやつにしようか」と声をかけ、アヤは奥へと引っ込んでいった。
「さて。そろそろ帰ろうかな」
「うらた、帰るの?」
 いつの間にそこにいたのか、あーちゃんが子供の手をひいて、ウラタロスをじっと見上げた。
「僕もいろいろ忙しいからね。でもまた必ず来るよ」
「…別に、来なくてもいいもん。バイバイ」
 行こう、と子供の手を引っ張って、あーちゃんは水道の方へと走って行った。
「素直じゃないなあ」
 肩をすくめて、ウラタロスは保育園の門をくぐった。
「そういうところも、似てる気がするんだよね」
 練習を抜け出した言い訳を考えながら、ウラタロスはデンライナーに向かって歩いて行った。


 言い訳よりも先に飛んできた拳に、ウラタロスは頭を押さえて蹲った。
「アンタ、毎日毎日どこをほっつきあるいてるのよ!」
「ごめん…でも僕だってちゃんとノルマ分はこなしてるよ?」
「わかってるわよ」
 ハナの後ろには、CDや歌詞カードに埋まったモモタロス・キンタロス・リュウタロスの姿があった。
「PDマネージャーが新しい資料持ってきてくれたから。これも参考にしてって」
「…過ぎたるは及ばざるが如しっていう言葉もあるよね」
「…まあ、あたしもちょっと多すぎかなとは思うけど。で、アンタはどんなテーマがいいと思うの?セカンドライブ」
「ちゃんと考えてるんだろうなカメ公…」
「逃げてただけやったら、ただじゃおかへんで…」
「カメちゃんのうらぎりもの~」
 ウラタロスがいない間にも延々CDを聞き続けていたらしいイマジン達の恨みがましい口調と目線に苦笑しながら、ウラタロスは視線を泳がせた。
「『色』とか『数字』とかも考えたんだけど…やっぱり僕としては、『愛』とか『恋』とかそういうのがいいと思うけどな」
「ラブソングとか、そういうこと?それでもいいけど…もうちょっとバリエーション豊かな方がいいわよね」
 ちらり、とハナが後ろを見る。
「ま、『喧嘩』とか『睡眠』よりはマシよね」
「いいじゃねえかよ」
「そうや。悪ないと思うで」
「あのねえ。ただでさえイマジンは乱暴なんだから。余計怖い印象与えてどーすんのよ。それに、歌ってる最中に寝ちゃうのもダメに決まってるでしょ!」
「僕の『ダンス』でいいじゃん~」
「アンタ達の踊りがもうちょっとマシだったらね。まだちょっと時間あるし、もう少し考えましょ。ただし、あんまりここで時間取られると、また曲決める時間が減るわよ」
 ハナに睨まれ、全員はしぶしぶ歌詞カードを読んだりCDを聞く作業へと戻って行った。
 ウラタロスも山積みにされたCDを何気なく一枚手に取り…そして、誰にも気づかれないよう、そのCDを奥へと押し込んだ。


「こんにちは」
「うらた!」
「うらたじゃなくて、ウラタロス。それだと苗字みたいじゃない」
 苦笑しながらあーちゃんの頭を撫でるウラタロスに気が付いたミナが小走りで近寄ってくる。その姿を見て、小さく頭を下げる。
「こんにちは、ミナ先生」
「こんにちは、ウラタロスさん。いつもすみません」
「いえいえ。ライブの曲選びに困っているので、息抜きに丁度いいんですよ」
「あ、次のライブが決まったんですか?」
「ええ。あ、良かったらこの保育園宛に招待状を出してもいいですか?」
「あら。じゃあ遠足を企画しなくっちゃ」
 嬉しそうに言うミナを見て微笑んで、それからウラタロスはあーちゃんの目線までしゃがんで、視線を合わせた。
「さて、今日もピアノの演奏にお付き合いくださりますか?お姫様」
「いいよ」
 ミナに用意してもらった椅子に座り、ウラタロスの隣であーちゃんは鍵盤を見つめながら、真剣な表情で演奏を聴く。
「…あーちゃん、さみしいと思うことって、ある?」
 鍵盤を滑る指を止めずに、ウラタロスが尋ねる。
「うん」
「どうして?」
「きっとね、大事なことがわかんないから」
「そっか。…僕の知っている子もね、昔、何にもわからなかったんだって」
 その言葉に、あーちゃんはきょとんとした顔でウラタロスを見た。
「本当?あーちゃんの他にも、そんな子いるの?」
「うん、お父さんもお母さんも友達も居なくて一人ぼっちだった。それでも、前だけ見て生きてたよ」
「その子、今、どうしてるの?」
「毎日楽しそうだよ。僕の見間違いじゃなければ、ね」
「そっか…」
 俯いたあーちゃんの頭に、ウラタロスの固い手が触れる。
「あーちゃん。君が覚えていることを少しでもいいから教えてくれない?」
「…笑わない?」
「笑わないよ」
「本当に?」
 もちろんさ、とおどけた仕草を見せ、それから赤い瞳でまっすぐにあーちゃんを見た。
「僕は嘘つきだけど、君には嘘をつかないって約束するよ」
 しばらくうつむいた後、あーちゃんは小さな口を開いた。
「…あのね。あーちゃん、おかあさんを待ってたの。そしたら、此処に来てたの。おかあさんに、良い子で待ってるって、約束したのに。なのに」
 次に顔を挙げたあーちゃんの黒い瞳には、涙がいっぱいに溜まっていた。
「あたしが悪い子だったから、もうおかあさんは迎えに来てくれないの?」
 その涙が零れる前に、鍵盤を滑っていた指が目のふちを拭った。
「大丈夫。きっとお母さんは、あーちゃんのことを覚えているよ」
「…でも」
「そうだね。もしかしたら迎えに来てくれないかもしれない」
 その言葉にまたあーちゃんの瞳に涙が浮かぶ。
「でも。だったらあーちゃんが迎えに行ってあげたらいいじゃない」
 おどけたような優しい口調に、黒い瞳が丸くなる。
「あーちゃん、おかあさんが何処にいるのかわかんない」
「うん。探そうよ。僕も手伝うから、ね?」
 約束、と差し出した小指を、小さな手が握りしめた。
「やくそく?」
「そう。約束。だからあーちゃんは、思ったこととか、何でもいいから僕に教えてよ。あーちゃんがおかあさんを迎えに行けるように、一緒に頑張ろう」
 こくり、と小さな頭が頷いて、笑う。
「うらた、ありがとう!」
「だから、うらたじゃなくてウラタロス。じゃ、次の曲に行こうか」
「うん!」
 その不釣り合いな二人の背中を見守っていた園長は、そっと微笑むとその場を後にした。

スポンサーサイト


TB(0) | CO(0) *Edit

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
 ◆Home  ◆作品*  ◆All  ◆通常ブログ画面  ▲PageTop 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。