月草雑記帳

スポンサー広告


スポンサーサイト


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



TB(-) | CO(-)  *Edit

伝謳交響曲


第一楽章「ディアーハート」7話


いよいよここまで来てしまいました。ディアーハート、最終話でございます!!
ぎりっぎりだけど5月中完結できてよかった。あ、明日にはあとがきのせたいと思ってます。語りたい。


いろいろ散りばめられていた、隠されていたネタが最終回で明らかになる!そしてそれを知って最初から読むと違った意味でおもしろい!みたいな話が大好きな私。
長編を書くときはだいたいそんな話を目指しているんですが、今回はどうなったことでしょうかね。
謎の少女の正体(?)、皆様にはもうおわかりでしょうか。
正直今回は文章力不足に非常に悩まされましたがなんかもうしょうがないかと諦めました。もしいつか納得のいく文章力を手に入れたら書き直したい。誰かアレンジなんでもないです。


まあ、後半一気に更新しすぎて此処に書くことなくなったんですが。
最後と思って、よかったらまたおつきあいください。






「ディアーハート」7話


「うらた!」
 走って来た少女を、ウラタロスはしゃがみ込んで迎える。
「来てくれてありがと。」
「うらた、うらたの歌、知ってるよ」
「うん」
「お父さんが好きな歌って、おかあさんが言ってた歌だよ」
「うん」
「うらた、おかあさん見つけたの?」
「…ううん。でも代わりに、君を見つけたよ」
「?」
 ウラタロスが、少女の持っていた紙を指さす。
「…これ?」
「そう。それが、未来の君の名前」
 そこには青い文字ではっきりと「奥村 愛」という三文字が書かれていた。
「…なんて読むの?」
「おくむら あい。あいちゃんだから、あーちゃんだったんだね」
「…本当?」
「正しくは今はその名前じゃない。でも、君が元いた時間に帰ったらすぐ、その名前になるよ」
「おくむら、あい…」
 少女が呟くと、紙は虹色に輝き始め、いつしか日付の入ったチケットへと変わっていた。
「うらた…」
「送っていくよ『愛ちゃん』。君のいた時間まで」
 ウラタロスが立ち上がり、手を差し伸べる。少女はおずおずとその手を掴んだ。


「いらっしゃいませー。ご乗車ありがとうございまーす!」
「ナオミちゃん、コレ、いいよね?」
 ウラタロスが虹色のチケットを見せる。ナオミはそれを確認すると、にっこり笑って見せた。
「はい、もちろん大丈夫ですよ!」
「じゃ、僕運転してくるよ。あとはよろしく」
 少女を客室に残し、ウラタロスは先頭車両へと歩いていく。
「では、出発いたし」
「ああ、失礼。私も乗せてもらえるかな?」
 ドアの向こうにいたのは、黒い燕尾服の男性。
「はい。チケットお持ちですか?」
「これを…ああ、私も、彼女と同じ時間のようだ」
「はーいかしこまりましたー!」
 ガタガタと揺れる列車の中。燕尾服の男性と黒髪の少女を乗せて、デンライナーは時の中を走り出す。
 やがてデンライナーは、緩やかに動きを止めた。
 扉が開く。
ウラタロスが客室へと戻ってくると、少女が立ち上がった。
「送れるのは此処までだから…気を付けて」
 ばいばい、と手を振ると少女はしっかりと頷いた。
「うん。うらた、ありがとう!ばいばい!」
 デンライナーを飛び降り、少女は振り返りもせず走って行った。
「やれやれ…大丈夫かな?」
「私もこれで失礼。いろいろとありがとう」
 すり抜けるように降りて行った燕尾服の男性を、ウラタロスは言葉なく見送った。


「あー!カメちゃん帰って来たー!」
 ライブが終わった会場。後片付けをしていたリュウタロスは目ざとくウラタロスを見つけ、駆け寄った。
「ただいま。ちょっとさぼってゴメンね。これから働くから」
「あったりめーだろうが!ていうか、カメ公。なんだったんだよあのガキは」
「お前の知り合いか?」
「ちょっとあんた達!手じゃなくて口を動かしなさい!」
 ハナの一喝でイマジン達は慌てて片付け作業に戻る。
 床掃除を始めたウラタロスの横に、そっと良太郎が近寄った。
「ウラタロス」
「ああ、良太郎。いろいろありがと。なんか解決したみたいで良かったよ」
「あの時奥村さんに聞いたのは、あの子の…奥村さんの娘さんの名前だったんだね」
「…ま、ね。正直確信はなかったからドキドキしたよ。今頃再会できてるといいんだけど」
「大丈夫だよ、きっと」
 その言葉に、ウラタロスはまた床掃除を再開する。
「なんだかよくわかんねーけど、珍しいじゃねえか。カメ公がガキの為に働くなんてよ」
 客席の掃き掃除をしながら舞台を見上げるモモタロスに、ウラタロスは立ち上がって口元に手を当てた。
「んー?あの子きっと大きくなったら美人になるよ?だから…それだけ」
 その答えに興味を失ったらしいモモタロスが掃除に戻る。ウラタロスはそのままターミナルの向こうに広がる時間を見上げた。
「それだけさ」
 時間の向こうから、ピアノの音が聞こえる気がした。


 とある病室の前に、一人の少女が立っていた。
 取っ手にかけようとする手が震える。
 ドアの前で深呼吸していた少女の上に、影が覆いかぶさった。
「…おじさん、だあれ?」
「こんにちは。君も、ここに用事かい?」
「うん。お父さんとお母さんに会いに行くの」
「そうか。実は私も、君のお父さんとお母さんに用があってね」
 部屋の中からピアノのメロディーが聞こえてくる。
「君のお父さんの、メロディーだね」
 二人はドアの向こうを見つめる。しばらくすると音がやみ、男女の泣き笑い声が聞こえてきた。
「さ、行こうか。見つけてもらいに」
「うん!」
 燕尾服の男性は少女の手を引くと、ゆっくりと病室の扉を開いた。

スポンサーサイト


TB(0) | CO(0) *Edit

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
 ◆Home  ◆作品*  ◆All  ◆通常ブログ画面  ▲PageTop 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。