月草雑記帳

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伝謳交響曲


第二楽章『譲れない想い』6話


物凄く久しぶりに、捏造の更新です!
伝謳交響曲第二楽章です!
前回更新は4月でした。うそん。ごめんなさい。


前回の内容なんてきれいに忘れたよ!って方がほとんどだと思いますのでよければ前回の話を先にどうぞ。


今回は前回の続きで、デート編です。
このデートプランを考えるのにものすごい時間かかったんですよね…
久しぶりに手が動いてくれのでUPすることができました!
しかし…本当はこの半分の長さにするはずだったのに。長くなったからデート前篇ということになってしまった。
7話はなるべく間髪入れずにUPしたいんですが…まだできてない!のでいつになるやら。
よろしい方のみどうぞです。






『譲れない想い』6話


「…おい。皐月」
「うわっ?!…な、なんだ侑斗かよ」
「…こんなところで何やってんだ?」
 あまり人の通らない裏路地。
 黒い帽子を深めに被った皐月が何かを覗いているのを見て、素通りしようか声をかけようか2~3分悩んだ後、侑斗は皐月の肩を叩いた。
「お、お前こそ何してるんだよこんなところで!」
「大学行く途中だけど」
「は?お前今日大学行くのか?」
「平日だし行くだろ。お前は行かないのか?」
「しっ!ちょっと黙れ!」
 皐月が指に人差指を当て、鋭くどこかを睨む。侑斗がその方向に視線を向けると、一組の見慣れた男女が目に入った。
 男性はトレンチコート、女性はふわふわした白いコートを着て、楽しそうに話している。
「…皐月」
「悪いか!?愛理さんと紀常がどこ行くのか、侑斗は気にならないのかよ!?」
「イマジンでもやらないぞ…」
「?イマジン?」
「気にすんな。とにかく止めとけ。バレたときシャレにならねえぞ」
「う…」
「それでもつけるって言うなら」
「ら?」
 侑斗は携帯電話を取り出すと、ボタンを押した。
「通報する」
「うわ、馬鹿やめろ」
 皐月が慌てて侑斗の手から携帯を奪おうとするが、侑斗はそれを軽く避けると遠慮なく通話ボタンを押した。
「馬鹿!マジでかける奴がいるかよ!」
 携帯を強奪し、皐月が形態を耳に当てる。
『もしもし?』
「えっと、あの、すみません誤報です!」
『…あら?皐月?』
「え?」
 皐月が目を瞬かせて画面を見る。そこには『香緋屋』という名前と電話番号が表示されていた。
「侑斗!てっめえ騙したな!」
「別に警察に電話するなんて言ってないだろ」
『貴方たち何やってんの』
 電話の向こうで香子の呆れた声がする。侑斗が事情を説明すると、大きなため息が聞こえてきた。
『とにかくこっちいらっしゃいよ。特別に店、開けてあげるから』
 移動していく愛理と紀常を横目に、侑斗は皐月の襟元を掴むと香緋屋に向かって歩き出した。


「あ、これなんていいんじゃないでしょうか?」
 愛理に手渡されたボールペンを紀常は試し書き用の紙へと向ける。
「ああ、書き心地がいいですね」
「この間お店に来てくれた女の子たちが教えてくれたんです。香子さんのお店は女の子もたくさん来てくれるから羨ましいです。うちの店はどうしてか、男のお客さんが多いから」
 そう呟いて別のペンを手に取った愛理を見て、紀常は小さく苦笑した。
「どうですか?」
「え?」
「そのペン」
 ああ、とペンを置きながら紀常が愛理を見る。
「良いとは思うのですが、もう少し他の物も見てみたいなと思うんですが」
 店に飾られている時計を見て、向きを変える。
「先にお昼にしませんか?上の階にレストラン街があるみたいなので」
「はい、そうしましょうか」
 店を出ると、愛理と紀常はエスカレーターに向かって歩く。
 平日の昼間のデパートは程よく空いていて、難なく全国チェーンのレストランに入ることができた。
「上司さんって、どんな方なんですか?」
 注文を済ませ、料理が来るまでの時間、愛理が何気なく尋ねた。
 紀常は一瞬考えてから、くすりと笑った。
「信じてもらえるかわかりませんが、年下の女の子なんです」
「あら、そうだったんですか」
「ええ。まだ学生のね」
 冗談めかして言う紀常に、愛理はゆったり微笑んだ。
「そんな若い子へのプレゼントなんて、私で役に立つかしら」
「こんなオジサンが一人で選ぶのの、何倍もね」
 顔を見合わせ、笑う。丁度やってきた料理に手を合わせ、二人は昼食を始めた。


「あー…あの二人…今頃どこで何やってんだろ…」
 『本日定休日』の看板が立つ店の中。香子はカウンターの向こうで冷蔵庫に手をかけた。
「そんなに気になるなら、止めれば良かったじゃない?」
「香子さん、簡単に言わないでくれよ~」
 カウンターに突っ伏した皐月に、香子が笑いながら牛乳を差し出す。
「桜井君ごめんね~この馬鹿が迷惑かけて」
「いや…こちらこそ、急に電話してすみません」
「いいのよ~皐月はもう息子みたいなものなんだから」
 それにしても、と皐月はカウンター越しに二人を見た。
「二人とも意外と奥手よね~」
「はぁ?!違うし!」
 椅子を蹴飛ばして立ち上がった皐月に、香子が笑う。
「だってアンタ、結局一回も愛理ちゃんをデートに誘えてないじゃない。それなのにヤキモチだけは一人前なんだから」
 ズバズバと言ってのけられた言葉に皐月は口をパクパクとさせ、おとなしく席に着いた。
 香子はちらりと侑斗に目を向け、それから少し口元を緩めると沢山の種類の珈琲豆の袋に手を伸ばした。
「ほら、せっかくそこにいるなら手伝って頂戴よ」
「何を」
「今日はお休みだから珈琲の研究しようと思ってね。あんた達の意見も聞かせて頂戴」
「本当に珈琲が好きなんですね」
 感心したように言う侑斗に、香子は小さくウインクを返す。
「伊達に何年も珈琲屋をやってないわよ。日々精進しなくちゃ」
 同じように休みの日にはブレンドの研究をしていた愛理を思い出し、侑斗は小さく微笑んだ。


「ぬいぐるみ、ですか?」
「そう。…やっぱり子供っぽいかな?」
「女の人は好きな人多いですよ」
「…まだ『女の人』と呼ぶのも憚られるような年齢でね。それでいて重いものを背負わせてしまっている子で…」
 昼食後、ファンシーなぬいぐるみの並ぶショップにやってきた二人は、大きなテディ・ベアの前にいた。
 ふかふかしたクマの頭に手を置き、それから紀常は苦笑した。
「でもやっぱり子供っぽすぎるな」
「…とっても大事にしていらっしゃるんですね。その、上司さんのこと」
「はい。妹…いや、娘みたいにも思っていますよ」
 クマを一撫でしてから、紀常は愛理を見た。
「もう少し大人向けだと…どんなものがいいでしょうか?」
「そうですね…」
 愛理は少し考えると、ファンシーショップを後にした。


 挽かれた珈琲を少しずつ混ぜて、お湯を注ぐ。
 カップに半分ほど作ったそれを一口飲んではメモを取る作業を続ける香子の前で、皐月は携帯を触っては閉じ、また開いてを繰り返していた。
「あー…落着けねえー」
「うるさい」
 一刀両断されて皐月はまた意味もなく携帯を開く。侑斗は店の中にある本をパラパラとめくっていた。
「侑斗…何やってんだー」
「ここの本、全然読んだことなかったから」
「あれ?そうだっけ?お前結構来てるじゃん」
「そりゃそうよね。侑斗君は愛理ちゃんしか見てないし」
 バサバサと侑斗の手から本が落ちる。香子は素知らぬ顔してまた珈琲豆に手を伸ばす。
「…なんだよ」
「別に~?お前さ、愛理さんのどこが好きなの?」
「…お前は?」
「俺?そりゃあまずはあの美貌と笑顔だろ?もう見るだけで癒されるっていうか」
「うわべだけだな」
「はあ?違うし!どんなことでも受け入れてくれそうな包容力とか、仕事熱心なとことか、かと思えばちょっと天然っていうか抜けてるところも可愛いよな!!」
 同意を求められ、侑斗は曖昧に頷いた。
「なんだよ、お前は違うのか?」
「そういうところもあると思う…けど」
「けど?」
 皐月の問いかけが聴こえなかったふりをして、侑斗は本に視線を落とした。

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