月草雑記帳

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侍戦隊捏造文章


侍戦隊捏造長編「聖夜幸:商売敵」


クリスマスが目前に見えてきましたね。聖夜幸も五幕め。折り返し地点です。
さあ…クリスマスに間に合うかな…?


「茉莉亜」の方にも書かせていただきましたがこのお話たちは「最後一太刀」の後にあったかもしれない(確実になかった)お話です。
「待降節」「流星願」「御馳走」「茉莉亜」を読まなくてもわかるけど全部読むとなお楽しい。そんなお話を目指しております。
それと、今までのものを読んでくださっている方はお気づきでしょうが、この聖夜幸は侍達の過去まで捏造しております。一応、今まで出てきた情報とは矛盾しないよう心がけておりますが、「捏造イヤ」という方は回れ右願います。


本編の素晴らしさを損ねたくない方も急いで逃げてくださいね!


では、侍戦隊捏造長編第五幕商売敵、いざ参る!





「聖夜幸:商売敵」


 丈ちゃんの家でクリスマスの飾りつけをして、ダイゴヨウと屋台に戻った。
 みんなが嬉しそうな顔で(丈ちゃんのあんな顔は、超レアだ)、俺もさいっこうに嬉しかった。
 でも、屋台に戻って考えてみると、クリスマスの思い出なんて、わびしい思い出しかねえな。よく考えなくても、寿司屋とクリスマスなんてもう敵だ。商売敵だ。
「ん?商売敵?」
 今なんか、記憶の中に引っかかったような…。
「親分!お客でい!」
「へい、らっしゃい!」
 ま、後でいいや。


 それから何日か経ってからの事。最後の客が帰って、椅子とかいろいろ片付けてたら丈ちゃんから電話がかかってきた。
『源太…今、大丈夫か?』
「ああ。どうかしたか?」
『いや…大した話ではないんだが…。』
「ん?」
『プレゼントっていうのは…どうすればいい?』
「は?どうすればっていうのは、何あげれば良いって事か?」
『…ああ。』
「ま、まあよく言うのは相手の気持ちになって考える、とか。それでもわかんなかったら自分が欲しいものをプレゼントする、とか。」
『…そうか。ありがとう。』
「ていうか何事だよ?」
『お前には関係ない。だいたい、寿司屋とクリスマスなんて商売敵だろう!』
 いきなり切れた。うーん、無茶苦茶わかりやすく照れてる。そもそも俺は一言も『クリスマス』なんて言ってねえのに、自分で墓穴掘ってるし。そうとう慌ててたな。
『商売敵だろう!』
 不意に、丈ちゃんの声が頭に蘇る。同時に、数年前の記憶も蘇った。
「そっか、商売敵って。」
 親父と話してたんだっけ。クリスマスイブの日に。




「親父ー。お客来ないなー。」
 いくつの頃だかもう思い出せないクリスマス。親父の店に座り込んで、開かないドアを見ていた。 
「今日はクリスマスだからなー。みんなローストチキンとかピザとかケーキとか食べるんだ。」
 親父は包丁を研ぎながら、なんでもないって感じで言った。
「商売敵だ!」
「お、難しい言葉知ってるな、源太。」
 親父が俺の頭を撫でる。なんか嬉しくなって、聞いた。
「うちは?」
「母さんが鶏肉焼いて待ってる。」
 つまり、ローストチキンだ。これには相当びっくりした。だって皆ローストチキンのせいで寿司食いに来てくれねえのに、なんでそのローストチキンを家で食べなきゃいけないんだって。
「なんで商売敵の食べるの?」
「『徳を以て怨みに報ゆ』って言うだろ?」
「…言わない。何それ。」
「明日になりゃあ分かるさ。」
 納得はいかなかったけど、その後の事はよく覚えてない。
 よく覚えてるのは、その次の日の事だ。
「よう大将!源太も。」
「あ、おじさん。」
 最近来てくれてなかった常連のおじさんが、ずいぶん早い時間にやってきた。
「いやぁ昨日はチキンだったんだが、やっぱり米が恋しくなってなー。」
「お、やってるな?寿司屋!」
 いつもは人の少ない時間から、お客が次々やってきた。
「やっぱり洋食の後は寿司だよなー。」
「とりあえずハマチ!」
「はいよ。源太、お茶出せ。」
 親父がてきぱきとお茶を入れて俺に渡す。その時、小さな声で言った。
「な?源太。昨日言っただろ?『徳を以て怨みに報ゆ』って。それが、神様の愛ってやつだ。」
 言葉の意味はよくわかんなかったけど、なんだかすげえ嬉しくて、誇らしい気持ちになったのはよく覚えてる。




「…うし、ダイゴヨウ、屋台頼んだぜ。」」
「え?親分、もう夜ですぜ?こんな時間にどこに」
「ああ、ちょっと…な!」
 顔が自然に笑う。困っているダイゴヨウに屋台を押しつけて、町へと繰り出した。


「うーん、一口に『プレゼント』って言っても、やっぱ種類あるよなー…。」
 千明たちから断片的に聞いた話だけど、ことはちゃんはサンタクロースを信じているらしい。茉子ちゃんに「イルカ好き?」と聞かれた事やことはちゃんの電話から考えても、皆してそれぞれこっそりプレゼントを用意してるらしいな。
「それにしても…あの丈ちゃんから『プレゼント』なんて言葉が出てくるとはなー…。」
 多分サンタを信じてることはちゃん用だろう。恐るべし、ことはちゃん。
「さあーて、ゴールドサンタはどうしようかな。」
 とりあえず、衣装と髭と袋は外せねえよな。


「さて、次はどうするかな。」
 衣装を買い込んだお洒落な店で、ふわふわした帽子を二つ買った。店員さんが勧めてたし、まあ、そんなに外しちゃあいないだろう。女の子にプレゼントなんて、地味に緊張する。
「丈ちゃんは何がいいかなー?」
 まだまだ賑わう夜の街をでかい袋を抱えてぶらぶら歩く。と、靴屋の看板が目に入った。
「靴かー。ありだな。」 
 この間みんなの靴のサイズも調べたし。よし、行っとくか。
「いらっしゃいませ。」
 かなり妙な格好の俺を気にする事もなく、店員さんに頭を下げてもらう。
「あ。あれ、千明に似合いそうだな。」
 なんつーか、かわいい系。あっちのは流ノ介に似合いそうだ。…買っとくか。なんか即決すぎる気もするけど、俺の勘に間違いはねぇ!早速店員さんを呼ぶ。
「あれとあれください。サイズは…」
「ありがとうございます。」
 包んでもらってる間に探すけど、うーん、やっぱり本命はなかなか決まらないよなー。
「靴は、丈ちゃんいっぱい持ってっしなあ。」
 千明と流ノ介も靴くらい持ってるだろうけどそれは置いといて。増えた袋を担いで店を出た。


 今日はここを最後の店にしよう、と決めて入った店で、俺は運命の出会いをした。
「ま、運命の出会いってのは大げさか。」
 でも、すっげー欲しい。俺が。


 決断が速い自分に感心しながら即購入。
「プレゼントですか?」
「片方は。もう片方は、そのままください。」
 増えた荷物を買ったサンタの袋に詰め直す。さあ、役者は揃った。


 『徳を持って怨みに報ゆ。』怨みたい相手にも徳を返す。皆に怨みはないから、徳と一緒に最大の愛情込めてプレゼントを担ぐ。


 あとはどうやって、あのセキュリティの固い志葉家に侵入するかだ。
「ま、俺にかかればちょろいけどな。」
 満天の星の下、俺は全力で屋台に帰った。
「ダイゴヨウ!待たせたな!」
「親分!どこ行ってたんで?」
「いや、ちょっとな。もうすぐクリスマスだし。」
「?親分、クリスマスは商売敵だって…」
「なーに言ってんだ。俺がクリスマスを嫌いなわけないだろ?」
 なんといってもサンタクロースは。
「子供たちのヒーローなんだから、さ。」


俺が目指してるうちの、一人なんだよ。
親父やあの六人を目指してるように、な。

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