月草雑記帳

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竹華


竹華 「私を想って」第一幕


昨日「節度」を更新しておいてなんですが裏側編です。


あ、こちらは侍戦隊捏造長編です。念のため。


さて、今回は「48幕中にあったかもしれない(確実になかった)お話」ですよー。


オリジナルキャラクター、「滝然」と「香里菜」が暴走中ですよー。…彼らの会話、終わらないんですよねー。


なお、原作の素晴らしさを損ねたくない方は全速力で回れ右願います。
「48幕ってどんなんだっけ?」と思った方。
「養子の話」ですよ!!きっとそのキーワードがあなたの記憶をよみがえらせるはず!
では、興味のある方のみどうぞ。






「私を想って」 第一幕


「ひ、ひめ…。」
 怪我をして帰ってきた薫を前に、丹波はへなへなと座り込んだ。
「…丹波殿、落ちついてください。命に別状はありません。」
「そうよ。治療するんだから、出て行って!」
 香里菜に押されて、丹波はわめきながら滝然と共に部屋を出た。
「…薫?大丈夫?」
「…香里菜。」
「頭とか打ってない?どっか痛いところとか」
「右腕…。」
 ぽつりと、薫が呟いた。
「当分使えないな。」
「…そうね。」
「…使えないんだ、な。」
 その声に、感情はなかった。


「…封印の文字が、効かなかった。」
 医者が出て行ってから、薫はまたぽつぽつと話だした。
「うん。見てたよ。」
「姫。香里菜。入ってもよろしいですか?」
 外から滝然の声がした。
「薫?どうする?」
「…滝然、一人か?」
「はい。丹波殿にはお仕事もございますので。」
「なら、入れ。」
 そう言われて滝然は香里菜の隣に座った。
「香里菜。姫のお怪我は?」
「しばらくは安静にしとかなくちゃダメみたい。でも、全部完治するって。」
「…良かった。」
「香里菜。滝然。」
 主の声に、二人は身を引き締めた。
「…私は今まで、何のために生きてきたんだろうな。…無駄な、人生だったな。」
 香里菜が驚いて薫を見る。薫の乾いた目は天井を見ていた。
「かお」


 ばん、という音が響いた。


 滝然が、拳を畳に叩きつけていた。
「たき」
「そのような事をおっしゃらないでください!」
 滝然の剣幕に薫と香里菜は息をのむ。
「私は、姫をお守りするためにここにおります。今も自分のふがいなさに…情けなく思っているのですから。どうか姫がそのような事をおっしゃらないでください。」
「…そうよ。あたしだってどれだけ薫に助けられたかわかんないのに。そんな事言わないで。…志葉家十八代目当主が、薫の全てではないでしょう?」
 薫はしばらく黙っていて、それから下を向いて、ぽつりと呟いた。
「…二人とも、ありがとう。」
 滝然と香里菜は顔を見合わせて、笑った。


「二人とも、仕事に戻ってくれ。」
「はい。」
「…うん。わかった。」
 二人が上げていた黒子の頭巾をかぶりなおす。
「やるだけ、やってみるから。」
 そう言った時の薫は、長年一緒にいた二人が見た中で一番。
 当主の顔つきだった。




「丹波。」
 薫の声が響く。滝然と香里菜はすかさずふすまを開けた。
 丹波が文字通り転がる。丈瑠が驚いているようだ。
「あーいやいやいや」
 と丹波が戻ってきたので、二人はふすまを閉めた。
 それから、丹波を引きずってふすまから離れさせる。
「お、おいお前達コラ!姫に何かあったらどうしてくれる!おい!」
「…滝然ぁ。紀常さんと都来さんに任せよう?」
「…ああ。」
 二人は小声で会話すると、障子の向こうにいた紀常と都来に丹波を押し付け、障子を閉めた。
「…お前達もなかなか自由に行動しているようだな。」
 彦馬が呟く。二人は子を見合わせてから頷いた。
「はっは。しかし良いのか?丹波殿にあのような仕打ち。丹波殿はモヂカラの心得がある分、おまえたちよりも立場が上だと思うが。」
「…滝然。どうするの?」
 香里菜が彦馬に聞こえないほどの小声でたずねてくる。滝然は頷いて、黒子の頭巾を外した。
「…な、流ノ介…?」
「いえ、流ノ介の父の兄の息子、池波滝然と申します。」
 ぺこりと頭を下げる。
「分かりやすくイトコって言えば?」
 そう言って香里菜も頭巾を取る。
「はじめまして、かな?薫付き黒子の、谷香里菜です。」
「谷…?では千明の」
「遠い親戚です。あんまり会った事ないんですけど。」
「というわけなので、我々はモヂカラを扱えます。丹波殿にも少しは対抗できる故、姫もこうしてお傍に置いてくださっております。」
 彦馬は二人をまじまじと見つめて、笑った。
「はっは。なるほどなあ。しかし滝然とやら。お前は本当に流ノ介によく似ているな。」
「よく言われます。母によると、二人とも祖母にそっくりだとか。」
「ほう?そちらの香里菜とやらは、ずいぶん若いように見えるが。」
「薫と同じ年。だから千明お兄ちゃんの…五つ下?かな?」
「千明が兄か…なかなかおもしろいな。」
「彦馬殿。姫の事はどうお考えで?」
 滝然の質問に、彦馬は首をかしげた。
「どう、とは?」
「彦馬殿は影…丈瑠殿のお付きとして、長年ここを守っていらしたのでしょう。そんな方からすれば姫はやはり…その。」
「悪者って言いたいんでしょ?」
「か、香里菜!お前、なんという事を」
「いいじゃない薫聞いてないし」
「そういう問題では」
 ふと、彦馬が笑いをこらえているのに気がついて、なんとなく二人は押し黙った。
「やれやれ。滝然。お前は顔だけでなく中身も流ノ介に似ているようだな。」
 苦笑する彦馬に二人も表情を緩める。
「確かに、何故今とは、思う。だが、ワシも殿も、決して姫を責めるつもりはない。それは確かだ。」
 はっきりと言い切るその姿に、滝然と香里菜はほっと息をついた。
「それより…お前達からしてどうなのだ?その…」
「影を演じてきた方はってこと?」
 香里菜の問いに、ああ、と彦馬が頷く。
「そんなの簡単。」
「ああ。」
 笑う二人に対して、彦馬は首をかしげた。
「ん?」
「薫の影なんだもん。あたし達の主人よ。」
「私は二人の主人に仕える気はない。だが、それが影となれば話は別。」
 もっとも、と滝然が続ける。
「その影の職務を終えた今となっては…。」
「何よ、はっきりしなさい?」
「…姫の、良き理解者であるのだろうと、そう、思っている。」
 そんな二人に、彦馬は侍の影を見た。

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