月草雑記帳

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電王捏造文章


電王捏造、大好きです。


拍手ぱちぱちありがとうございます!!


今日は久しぶり(?)にストーリー性のある捏造を。
「良太郎と侑斗出会い捏造」ですね。
良太郎は小学校低学年です。
侑斗は大学生くらいのイメージで読んでください。
…最初は「愛理さんと侑斗の出会い」を書こうと思っていたのにいつからこうなったのか…?


地味に良太郎の「運の悪さ」を「ドジっ子」に取られないようにするのがなかなか大変でした。
「ドジ」を通り過ぎた天災や人災ですからね…。
「おい有り得ないだろ」と言うツッコミ目指して頑張りました。


さて、本編の素晴らしさを損ねたくない方は回れ右願います。
「いいよ」という方はどうぞお付き合いください。
タイトルは、「交差点」。
明日にはイマジンズの捏造が書けるといいなあ…。







「畜生…どこだよココ…。」
 染めたばかりの茶色い頭をした青年は、都会の片隅をさまよっていた。
「やっぱり無謀だったよな…父さんも気い使ってくれれば良いのに…。」
 ぶつぶついう青年が角を曲がろうとすると、反対側から走ってくる自転車が見えた。自転車の進行方向にあるのは、溝。
「!?危ない!」
 坂道を走っていた自転車が溝にハマって急停止し、乗っていた少年が宙を飛ぶ。
「……!?」
 呆気に取られた青年は、それでもすぐに我に返って着地予想地点に走りこんだ。


「交差点」


 とぼとぼ。
 そんな言葉が似合いそうなうつむき具合で、一人の少年が道を歩いていた。
 少年はランドセル姿で、短く切った髪の向こうに悲しそうな顔が見え隠れする。
 ある家の前で少年は足を止めると、覚悟を決めたかのように顔をあげ、ドアを開けた。


「ただいま…。」
 少年がそう言ってドアを開ける。
 家の中はしんと静まり返っていて、声が反響すること以外に音がしない。
 少年は靴を脱いで家に入ると、そのまま自分の部屋へと一直線に向かった。
 あと一歩で部屋に着く。そんな少年の目に入ったのは干してある洗濯物と一枚のメモ。


『良太郎へ。家に帰ったら洗濯物を畳んでおいてね。』


 メモを見てしまった心優しい少年、良太郎は、部屋に入ることを諦め、ランドセルを置いた。




 洗濯物を畳みながら良太郎の頭に甦るのは、クラスメイト達との会話。
『なあ、野上。お前って、可哀そうなんだろ?』
『え?』
『俺も、母さんが言ってた。野上君はお母さんもお父さんも居なくて不幸だって。』
『ち…違うよ!』
『でも毎日家帰ったら洗濯物たたんでるんだろ?可哀そうだよなー。』
『ま、毎日じゃないよ。今日はきっと無いから!』
 きちんと畳み終わった洗濯物を見ながら、良太郎はため息をつく。
 本当に、毎日洗濯物を畳んでいるわけではない。でも、これでは皆に嘘をついたことになってしまう。
 どうして自分は、こうも運が悪いのだろう。


 気分を紛らわせたくて、家を出て自転車にまたがった。
 乗れるようになった補助輪なし自転車に乗って、鍵を首から下げる。
 昔々の我が家に向かって、勢いよくペダルをこぐ。
 坂道に差し掛かって、いつものように軽くブレーキを踏みながら坂を降りる。
「!?危ない!」
 急にそんな声がして良太郎は視線を下から前に移す。
 いつもは開いていないハズの隙間が、溝となって道に開いていた。
「え?」
 ガン、という音を立てて自転車の車輪は見事に溝に挟まり、急停止した。
 しかし自転車自体は急停止出来ず、後輪が勢いよく上がる。
 同時に、軽い運転手は前に放り出され、宙に浮いていた。
「う、わああああああああ!!」
 身体が地面にぶつかる直前で、誰かに受け止められる。
 痛みはあるけれど、地面に激突していたら痛いではすまされなかっただろう。
「大丈夫か!?」
 良太郎を受け止めた青年が尋ねる。茶色い髪が見えた。
「は、はい…すみません。ありがとうございます…。」
 良太郎は慌てて立ち上がる。ふと視線をずらすと、横倒れになっている自転車が見えた。気のせいではなく、車輪が歪んでいる。
「立てるなら大丈夫か…。どっか痛いとこないか?」
 青年も立ち上がる。良太郎は首を横に振る。
「でも…自転車が…。」
 買ってもらったばっかりなのに、という言葉を飲み込む。
「自転車?…ああ、歪んでるな…。」
 青年は自転車の方に歩き出す。良太郎も続こうとした瞬間。
 バシャ。
 と背中から水を被った。
「きゃあ!ごめんなさい僕!ホースが『強』になってて…!」
 道の前の家主と思われる女性がおろおろと良太郎を見る。
「すぐタオル持ってくるから、ここに居てね。」
 家の中に消える女性と良太郎を交互に眺め、青年は目をぱちぱちさせた。
「さっきから一体なんなんだ…?」
 良太郎はしゅんとうつむく。髪からぽたぽたと雫が垂れた。


「やっぱり大丈夫じゃないわね…。おばさん、今からお出かけするから、来るまでお家まで送るわ。家、どこかしら?」
 最後の言葉は良太郎でなく青年に向けられる。青年はいや、と前置きする。
「俺も、この子とは今会ったばっかりで」
「あら、そうだったの?」
「…ありがとうございました。」
 良太郎はタオルを女性に返し、車輪の曲がった自転車を押す。
「え?ちょっと?僕?」
「大丈夫ですから。」
 そう言って、良太郎は急ぎ足で歩きだした。
 青年は暫くその後ろ姿を眺めていたが、やがて思い出したかのように後を追った。


「おい!お前!」
 後ろから呼ばれ、良太郎は振り返る。先ほど助けてくれた青年が着いてきていた。
「…?」
 追いついた青年が、バサリと布を良太郎にかぶせる。
「しっかり拭かないと風邪ひくぞ。」
 どうやら持っていた荷物の中から出してくれたらしいタオルは、暖かかった。
「…ありがとうございます。でも、僕に関わらない方が良いよ。」
「は?」
「僕に近づくと…不幸が移るから…。」
 小さくなる語尾と共に、良太郎の視線が移動する。青年が視線を追うと、そこには鍵のかかった店が見えた。
「あそこ、お前の家か?」
「ううん。…鍵は、あるけど。」
「なら、中に入って話していいか?」
「…うん。」
 がしゃりと店の隣に自転車を止め、二人は中に入った。


「…で?」
 青年に促され、うつむき加減の良太郎が話し出す。
「僕、お父さんとお母さんがいないんだ。」
「…それだけか?」
「ううん。さっき、見てたでしょ?」
 青年の頭に浮かぶのは、派手な転倒と放水。
「ああ…。」
「僕よく転ぶし、いろんなところに落ちるし、怪我するし風邪ひくし…。」
 確かにあれは、「ドジ」の範囲を超えていた。
「だから、僕の近くにいると、不幸が移るって…。」
 確かに近くにいると巻き添えを食らうことは多そうだ。それよりも、青年には気になることがあった。
「お前、不幸なのか?」
 良太郎はちょっと驚いたように青年を見上げる。
「お前、不幸なのか?」
 青年は同じ質問を繰り返す。
「…お姉ちゃんは、運が悪いのねって、言う。」
 何か言おうとした青年を遮って、良太郎は続ける。
「僕、不幸なんかじゃない。お父さんもお母さんもいないから、洗濯物とか畳まなきゃいけないし、参観には誰も来てくれない。…でも僕、不幸じゃない。」
 まっすぐに青年を見つめる瞳から涙が零れる。


『野上君、あんなに小さいのにお家のお手伝いばっかりして…大変ねえ、かわいそうだわ。』
『良太郎君はお家に帰らないとダメなんでしょ?』
『良太郎君をあんまり遊びに誘っちゃだめよ。忙しいんだから。』
『野上、お前不幸なんだってな。』
『あそこの子はよく事故に会うからな。お前は巻き込まれないように気をつけろよ。』
『行こうぜ、みんな。不幸が移るぜ。』
 子供を思う気持ちと中途半端な同情と思い込みと…そしてその中にほんの少し含まれた「好奇心」が。
 雪のように降り積もり、この少年に冷たく滲み込んでいるのだと。
 青年はなんとなく思う。
「僕、不幸じゃない。」
 しかしそう言った彼の瞳にはそんな冷たさに負けない温かな光が宿る。
「僕は、不幸なんかじゃない。」
 それはまるで、大好きな星のように輝いていた。
 辛いことも悲しいことも悔しいことも人一倍あるだろうに、不幸じゃないと言う、少年。
 なんて強くて優しいのだろう。
「そうだな、きっと人より少し、運が悪いだけだ。」
 その瞳に答えられるのは今、自分しかいない。
「大丈夫、お前は全然不幸じゃない。だから、不幸が移るなんてことは絶対ない。」
 青年はしゃがんで、良太郎と視線を合わせる。
「…うん!」
 求めていた答えを得て、良太郎は大きくうなづいた。


「それで、お兄さんはどこかに行くところ?」
「ああ…。ちょっと待ち合わせをしているんだけど…道がわからなくなって。この近くなのは間違いないんだが…。」
 気まずそうに言った青年に良太郎が笑いかける。
「じゃあ僕、案内してあげるよ!」
「…頼む。」
 二人は視線を合わせて、笑う。
 この二人はまた出会うことになる。
 それは少年にとっては遠い遠い未来の話。
 そして青年にとっては、近い近い未来の話。
 交わりの時は、近くて遠い。

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