月草雑記帳

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竹華


竹華 「節度」第六幕


拍手ぱちぱちありがとうございます。
こちらは、侍戦隊捏造長編です。
「電王強化月間」の裏でこちゃこちゃ書いてた竹華「節度」動のクライマックスが、ようやく形になってきましたので更新します。
そして今までとは違って「続きもの」ですのでなるべく間を開けずに更新するつもりです。


そして日本の儀礼とか一切わかりません。日本史の授業を真面目に受けてこなかったバチが当たったかな?と思いつつそんな殿様と家臣の礼儀なんて習わないだろうと思いなおしたり。


というわけで…えーと…なんかいろいろ見逃してくださいお願いしますorz
そして殿の年齢とか捏造してますけど見逃してくださいお願いしますorz orz


では。
心のひろーい方のみどうぞです。
あ、今までの「竹華」を未見の方は多分そっちを先に読んだ方がいいです。きっとわけわかんないので。









「節度」第六幕


 ある暑い夏の日の事。
 屋敷に向かうみつばは、小さな荷物を持っていた。
 その日は池波・谷・白石の当主が屋敷に来るということで、屋敷は朝から大騒ぎだった。その混乱の中でお茶葉を零してしまった為、買い出しに出かけていたのだ。
 もう少しで屋敷、という時、少年がうろうろしているのが目に入った。真黒い髪をした端正な顔つきの少年。急いでいるし、かくれんぼをしているのかもしれない、と普段ならそのまま通り過ぎただろう。
「どうか、しましたか?」
 しかしみつばは話しかけずにはいられなかった。何故ならその少年からは、身体の奥底にまで『水』の気配を感じたからだ。


「あの、すみません、池波様でいらっしゃいますか?」
 遠慮がちに、でも迷わずにみつばは前を行く男性に声をかけた。
「はい…あなたは?」
「あの…あそこにご親族の方が…。」
「…は?」
 ばっと男性が振り返る。そこから離れた曲がり角の向こうから、こちらをうかがっている少年が居た。
「滝然!?」
 やっぱり、とみつばは呟いた。少年は「なんでもないです」を連呼していたが、モヂカラを感じる能力の高いみつばからすれば少年と前を行く男性が「池波」であるのは言葉通り一目瞭然だった。
「あ…どうもありがとうございました!!」
 頭を下げて男性が少年の方へ歩いていく。少年は見つかったので慌てて逃げようとするが、思いとどまり父親に向きなおる。
「父さん、僕も連れて行ってください!!」
「滝然…流ノ介もどこかにいるんじゃないだろうな?」
「流ノ介は今日夏風邪で寝てます。だから僕だけでもって」
 そのあとも何か口論する声が続いたが、みつばは無視して先を急いだ。


「ただいま戻りました。」
「おお、みつば。すまなかったな。」
「いえ。」
 彦馬に買ってきたお茶葉を渡す。
「すいません、遅くなって…」
 普段の勘やモヂカラに対する反応は人並み以上に鋭い割に、方向音痴なみつばは今日も盛大に迷っていた。
「いや、大丈夫だ。しかし着替える時間が…」
 今日は当主が集まっている。花織の当主からは「みつばが代理」と言われており、みつば本人もきちんと当主代理に必要な印を持っていた。
 当主以外にも親戚や…もしかすると丹波辺りが来るかもしれない。そもそも屋敷に住み込んでいるのだからどんな格好でもホスト側としては良いのだが、けじめと言うものはあるだろう。
「すまないがなるべく急いでくれ。」
「分かりました。小走りに急ごうとして、走るのをやめた。最近は調子がいいとはいえ、走るなどという激しい運動は、控えた方が身のためだろう。


 ピンポン。
 時間ぴったりにチャイムが鳴る。
「殿、準備はよろしいですか?」
「…うん。」
 正装とまではいかないが、それでもきちんと和服を着た丈瑠が緊張した趣で頷く。
「なあに、今回は御簾越しで顔も表情もあちらからは一切見えません。そう心配なさらずとも大丈夫です。
「…わかってる。」
「丈瑠様。」
 急いで着替えたらしいみつばはひょこ、と顔を出した。
「こらみつば。お前は当主代理なのだから客間に居れと」
「少し抜けさせていただきました。…丈瑠様、私もフォロー致しますので。」
 いつもの笑顔でみつばが笑う。丈瑠も釣られて笑った。
「うん、ありがと、みつば。」


 みつばが客間に戻った直後の事。
 屋敷に呼び鈴の音が響いた。
「…?当主は皆集まっているはずだが…。殿、こちらでしばしお待ちを。」
 彦馬が玄関へと出る。
「失礼します。」
 止めようとしているらしい黒子を押しのけて、一人の婦人と少年が中に入ってきていた。
「梨羽 春日と申します。こちらは息子の伸一です。」
 母親に紹介され、伸一はぺこりと頭を下げる。
「本日は志葉家当主様に御挨拶できる機会と聞き、僭越ながら参上いたしました。」
 丁寧に頭を下げる。確かに今日は『志葉家当主に暑中の謁見が認められている日』であり、親戚である梨羽家にも連絡は行っていた。
 しかしそれは現代においてあまりに時代錯誤な事であり、まさか本当に挨拶に来る者など居るまい、とそこに居るほぼ全員が思っていた。
「志葉家当主様はどちらにいらっしゃるのですか?」
 にこにこと笑いながら言う春日とは対照的に伸一は無表情だった。しかしそれは決して無愛想なものではなく、何を考えているのかよく読めない表情をしていた。


「ジイ。どうするの?」
 御簾の向こう側で、丈瑠が小声で尋ねる。各当主への対応はわかっているが、突然の来客への対応…それも完全に「他人」である親戚の相手など、人見知りな少年には荷が重すぎた。
「ジイがどうすれば良いのか適時指示いたしますので。打ち合わせ通りに。」
 丈瑠が頷く。謁見が始まった。


「当主様は、幾つになられたのですか?」
 それぞれの挨拶と、御簾の向こうからの丈瑠の返答が終わった絶妙なタイミングで、春日は口を開いた。
 丈瑠がジイを見る。彦馬は怪しまれないよう、頷くだけに留めた。
「八つになりました。」
 はっきりと丈瑠が答える。年齢ならば、御簾越しとはいえ姿を見せている時点でバレているも同然。それならば下手な嘘を吐いて深く突っ込まれるよりは真実を述べた方が良い。
「そうですか…まだ小学生なのですね。」
「はい。」
「お若くいらっしゃるのに当主などという重荷を…辛くはありませんか?」
 丈瑠は一瞬答えに詰まるが、落ち着いて答えた。
「いいえ。支えてくれるものが大勢おりますから。」
 この質問なら、少し予想とは違うが想定内だ。
「もう少しお身大きくなられてからお継ぎになられた方が宜しいのではないでしょうか。精神的にも、肉体的にも」
「それは、殿様を卑下していらっしゃるのですか?」
 静かな声が響く。いつもは笑顔を絶やさないみつばが、無表情で相手を眺めていた。
「いえ、そういう訳ではありません。」
 慌てたように春日は言う。みつばはじっと春日を見つめ、目をそらした。
「ただ、誰か御当主の代わりになる者がおれば、殿の御負担が減るのではないか、と思いまして。」
 みつばに目をそらしてもらってから、春日は言う。
「どう、思われますか?」
 質問の意図がわからなくて、丈瑠は彦馬を見る。
 彦馬は嫌な予感を感じ、丈瑠の代わりに答えた。
「申し訳ないが、質問の意図がよくわからない。」
「すみません。実は、ここに居ます息子の伸一についてなのですが、この子はモヂカラを習得しております。よろしければ殿がお身大きくなられるまで、この子にシンケンレッドをやらせてはどうか、と。」
 だいたい予想通りの答えに、彦馬は内心舌打ちする。
「血筋だなどと仰るかと思いますが、やはり年齢というものも大切ではないかと。」
 この人は、ただ思っていた事をのべているだけかもしれない。みつばはそう感じた。
「二人ともモヂカラを使えるのなら、年上の方が」
 でもそれは、きっと本人が思っている以上に丈瑠様を傷付けている。
「シンケンレッドをやるというのは、何の不思議もない事でしょう?」
 『血筋』を持たない丈瑠様を。
 池波、白石、谷、それぞれの当主は、動かない。じっと目を閉じているので、何を考えているのかわからない。
 謁見を許された池波の当主の息子だという少年―滝然は、不思議そうに御簾の向こうを見つめていた。

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