月草雑記帳

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獣の奏者


ずっと前に<闘蛇編>と<王獣編>が発売されていた上橋菜穂子さんの「獣の奏者」。
今NHKでアニメ化されているのもみてますが、昨日<探求編>を、そして今日、<完結編>を読み終わりました。

今は胸の中がすごくごちゃごちゃしててとても重いです。「読まなければよかった」「読むべきだった」という二つの感情が一気に押し寄せてきてどうすればよいのかよくわかりません。そんな状態で書いていますのでネタばれ反対の方は読まない方がいいと思います。もう少し落ち着いたら別の感想が書けるのでしょうが、今なぜか感想を書きたいと願うので、書きます。





私は主人公のエリンがとても好きで、「獣の奏者」も何度も読み直した作品で、こうやって続編が出たのを大変うれしく思っています。<探求編>と<完結編>は先に出た二冊の11年後からスタートしていて、エリンにはもう息子と夫がいます。そしてエリンと夫は「家族でつつましく暮らしたい」と願い続けます。そして、永遠の幸せにはたどりつかずにその生涯を終えます。しかしもう一つの願い、「王獣を人間から解き放つ」は最後の最後、真王の協力によって成し遂げられたことが、息子目線の物語でわかります。このラストを「ハッピーエンド」と言っていいのか「アンハッピーエンド」と言っていいのかはわかりません。主人公のいないラストがハッピーとは思えないけれど、長い長い旅の後、家族の時間を持てたこと、王獣を解き放つことができたことはエリンにとって嬉しいことだったと思います。

ただ知りたいと思い続けたエリンの気持ちが引き起こしたことを、悪いことだとは思えません。もしエリンがいなかったなら、リョザ神王国は滅びていたでしょうし、もっと多くの人と獣が死んだでしょう。しかし良いことだとも言い切れないのです。

胸の奥がずんと重くて目と鼻がぎゅっと痛いこの感情を、なんと呼んでいいのか知りませんが、大事な人を亡くした夢を見た朝のあの感情に似ている気がします。私は幸いにも大切な人と会えなくなった経験がないのですが、大切な人が亡くなった時はこんな感情になるのかもしれません。
人の持つこんな感情を、王獣は持っていたのだろうか。これは最後までわからないことですが、リランを、たくさんの王獣を育て、そして見送ったエリンが最も知りたかったことかもしれません。

しかしその答えはきっと、リランが一生懸命にエリンを舐めてくれた、その時に凝縮されているような気がします。<王獣編>のラストがきっとリランからエリンへのメッセージだったのではないか、と思いました。人と獣の間にある感情は「恐怖」だけではない、と私は信じていたいです。

関係ないかもしれませんが、エリンの息子の名前は「ジェシ」。リョザ神王国の言葉では真王を「ヨジェ」と呼びます。彼女の子供は「王の子」、「王獣の子」という意味なのかな、とアルを姉と呼ぶ彼を見るとそう思えてなりません。彼女はどういう気持ちで息子を名付けたのか。それはわかりませんがエリンは本当に、あの気高く美しく恐ろしい獣が大好きだったのでしょう。
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