月草雑記帳

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竹華


竹華「節度」第十二幕


長かった「節度」もやっと…やっと最終幕までたどり着きました!
そして、「節度」の終わりは過去編の終わりでもあります。
やー…胸がいっぱいです。
自己満足かもしれませんですが、ここまで書けて嬉しいですね。


これで残すは「49幕裏側」がひとつとあとは「最終回後」となりました。
そこふたつは正直ストーリー性はあまりないと思いますので…いや、まあどうなるかわかりませんが。
とりあえずこの部分ももう書きたくて書きたくて。


今までの過去編すべての総まとめみたいな気分で書きました。
まあ出てくるのは四人くらいなんですけど。
今までがあってここまできたんだなーと感じていただけるとうれしいです。
もちろんこれは「侍戦隊捏造」であって私のオリジナルでは全然ないんですけどね!!


では捏造分たっぷりな最終幕。
よろしければ、どうぞ。





 「節度」第十二幕


「殿。花織家より書物が届いております。」
「ああ、分かった。」
 モヂカラの訓練の手を止めて、丈瑠は書物を開く。
「…シンケンイエローの引き継ぎが決定したそうだ。」
「では、みつばの次のシンケンイエローが育ったのですか?」
「そうらしい。先代の姪でみつばの妹の花織 ことはを正式なシンケンイエローに任命するから、承認して欲しいと。」
「そうですか…。殿、いかがなさいますか?」
「花織本家の決定だ。構わないだろう。ジイ、悪いが判の準備を頼む。」
「…はい。」
 彦馬が立ち上がり、志葉の本家と連絡を取る為に部屋を出た。


 冷静なフリをしていたけれど、届いた書物を、ぐしゃぐしゃに破いてしまいたい衝動に駆られていた。
 みつばがシンケンイエローではなくなる。
 みつばから来る手紙の内容から、覚悟はしていたことだった。
 でもそれはつまり、彼女はもう二度と自分と共に闘ってはくれないのだ。
 もう二度と、自分の傍に居てはくれないのだ。
 あんなに甘えて、助けてもらって、傷つけて。
 そのままになってしまう。
 それが、悔しくて寂しくて悲しくて。
 その心を無理矢理胸の奥に押し込めた。
 自分は、殿様なんだから。


「…?どうかしたか?」
 ふと丈瑠が顔を上げると、そこには遠慮がちに座る黒子の姿があった。
「?小包?俺にか。」
 黒子は頷くと、今届いたらしい小さな包みを差し出した。
 表面には自分の住所と名前。
 裏面には送り主の住所と名前が、記されていた。
「…みつば?」
 黒子はペーパーナイフを取り出して丈瑠の横に置くと、一礼して部屋を出ていった。
 誰もいない部屋で、丈瑠は包みを開ける。
 中身は緋色と生成色の紐が付けられた、小さな竹籠のようなものだった。竹籠は細かく編まれ、閉じられた籠の中には、ころころと転がる小さな実が入っていた。
 その竹籠に見覚えはなかったが、その紐と小さな実を、丈瑠は確かに知っていた。


 それは、自分とみつばとでお揃いに作った、お守り。
 楽しかった時の、思い出。


 一緒に入っていた手紙を広げた。
 細い筆で書かれた字は、紛れもなくみつばのものだった。


『丈瑠様。
 春の中に少しだけ夏の気配を感じる季節となりました。世界は若々しさにあふれていますね。大変過ごしやすい陽気ですが、朝晩はまだ冷え込むように感じます。そちらは、いかがでしょうか?
 今日、私の次のシンケンイエローが決定しました。そちらで承認していただければ、正式に決定となります。次のシンケンイエローは、私の妹、ことはです。ことははとても強くて優しい子なので、きっと丈瑠様を癒して、護ってくれると思います。どうか、承認してくださるようお願いします。
 私以外が丈瑠様をお護りするなら、ことはしかいないと思います。
 それでも、私がその役目を全うできない事が、悲しくて仕方がありません。
 必ず身体を治して、そちらに伺うという約束から、また一歩遠ざかってしまいました。
 でも私はその約束を忘れません。
 私はもうシンケンイエローではありませんし、相応しい人間でもありません。
 シンケンイエローとして、貴方を護ることはもう、できません。
 でも、私はいつまででも何度でも丈瑠様に忠誠を誓います。花織みつばとして、何処に居ても丈瑠様を護りたいと願います。
 なので、私が作ったお守りを、送らせてください。
 「守」のモヂカラを込めておきました。
 きっと丈瑠様を護ってくれると思います。
 いつか、身体が治ったら。
 私はまた、そちらにお邪魔したいです。
 もちろん丈瑠様の御迷惑にならないのなら、ですけれども。
 だから、丈瑠様。
 それまで、どうか待ってていてください。
 我が儘ばかり言ってすみません。
 でも、私はずっと貴方の味方です。
 それだけは、忘れないでください。
             花織 みつば』


 手の中のお守りが音を立てる。
 手紙をきちんと折りたたんで胸元にしまって、お守りを首から下げた。
 それから元々かけていたお守りを外す。
「殿、判の準備は明日になりそうです…どうかなさいましたか?」
 首を傾げる彦馬になんでもないと言って、丈瑠は席を立った。
 稽古半ばで自室に戻った丈瑠を、彦馬は叱らなかった。


 丈瑠は自室でお守りを眺めていたが、やがてお守りを戸棚に仕舞うと、庭に出て何かを摘み取った。
 それは、咲いたばかりのシロツメクサとクローバー。
 クローバーとシロツメクサ。それにショドウフォン。みつばがくれた、大切な御守り。
 それらを自室の机の上にそろえて、丈瑠は大きく深呼吸をした。
 ショドウフォンを手に取る。
 思いを込めて、丁寧に漢字を書く。
 最後まで書き切って、反転させる。
 現れたのは、シロツメクサをあしらった簪だった。


『みつばへ
 今家の庭には沢山の花が咲いています。その中に、貴女の好きな花を見つけて、嬉しく思いました。貴女の家の近くでも、咲いている事を願います。
 シンケンイエローの件、今日正式に受理しました。この手紙よりも先に、そちらに届いていることと思います。
 判を押したのは自分でも、とても寂しくて悲しいです。でも、貴女の妹ですからきっと明るく優しい子なのだろうと、会うのが楽しみです。
 勿論、本当は逢いたくありません。逢わずに、召集する事もなく一生が終わればいいのにと思います。
 でも、その時はきっと来るでしょう。俺の意思に関わらず、外道衆は復活するし、ジイはきっと無理にでも家臣を集めようとします。
 だから、どうか強い家臣であるようにと、思います。
 貴女から頂いたお守り、とても、嬉しかったです。
 それから貴女がくれた言葉も。何よりの、支えになります。
 俺も、何か返せるものはないかと思って、簪を作りました。作り方など全くわからなかったので、モヂカラを使って。
 モヂカラが少し、強くなったことを感じてもらえるかと思います。着物が似合う、貴女に似合うと良いのですが。
 それから、貴女に伝えたい事があります。
 俺は、貴女の事を忘れません。
 絶対に、絶対に忘れません。
 だからいつか、会いに来てください。
 それが、俺からの、命令です。
 その時まで。
             志葉 丈瑠』


 遠い所に居ても。胸にかけたお守りが力をくれる。
 暖かさをくれる。
 「一人じゃない」と、教えてくれる。
 自分の送った簪も、そうだといいと願った。
 そして、自分も、そう在りたいと。
 このお守りのように、暖かく、強く成りたいと願った。


 願いはやがて決意に代わり、心の糧と、なった。

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