月草雑記帳

侍戦隊捏造文章


『ハッピー・ハロウィン』侍巻


今日から「あきなが」短編第一弾でございまーす。
侍戦隊捏造でございまーす。
そして「次回予告」にも書きましたが2009年の話です。時間を一年ほど戻してください。


この『ハッピー・ハロウィン』シリーズは短編です。
中編と中編の間に挟む予定です。
もう一つできてるんだけど…あとどうしようかな。
そして続きません。なんとか完結しました。
下手したら三つになるところだったけど。…まあそれでも良かったかな(え


では、突然ですが次回予告。
<時は2011年。>
<悪も正義も混在する風の街に広がる暗雲。>
<襲われる人々。>
<謎のメモリのキーワードは、『T』。>
<そして舞台はいよいよ街の外へ…?>
<次回、『Tの記憶/嵐が来る』>
<乞うご期待!>


まあ、こんなにシリアスじゃない気がするけど…ま、いっか。
では、興味のある方はどうぞ!
『ハッピー・ハロウィン』侍巻!

ハッピー・ハロウィン
『侍巻』


 時は2009年。
 とある屋敷に、稽古を終えて茶菓子でくつろぐ侍たちが居た。
「そういやさー。もうすぐハロウィンだよな。」
 そう切り出したのは、千明だった。
「そう言えばそうね。でも私、あんまり気にしたこと無かったな…。」
「私もだ。秋は何かと忙しい季節だったし…。千明、お前は何か思い出でもあるのか?」
「え?あ、まあ…。」
「何だよ教えろよー。」
 源太に横から肩を組まれ、しぶしぶ千明は話し出した。
「三歳くらいの時に親父がかぼちゃの面で脅かしてきやがって…。」
「あはは、なにそれカワイイ。」
「姐さん笑い事じゃねえんだって。俺マジびっくりしてしばらく人間不信だったっつーの。」
「まあ良いだろう。ことはは?何かあるか?」
 流ノ介の声にことはが笑う。
「うん。うち、お姉ちゃんと一緒にかぼちゃのランタン作ったことあるねん。でも、うちその時ナイフで手ぇ切ってしもて…」
「うっわ痛そう。」
 源太がわざとらしく耳を塞ぐ。
「でも、大したことあれへんかったし可愛くできたんですよ!いつかまた作りたいなぁ…。」
「俺はちょっとトラウマだよ…。ハロウィン。」
 恨めしげに千明が呟く。
「はは。ま、頑張れ。」
「そう言う源太は、何かないのか?」
 流ノ介が源太を見る。
「え?…っとぉ…」
 ちら、と視線が移動する。視線の先にいるのは、彼らが殿様、志葉丈瑠。
「…そういえば丈瑠、さっきから無言ね。」
「殿、具合でも?」
「いや…。」
「でさ、源ちゃんの思い出は?」
「ああ…この辺に住んでた頃に」
「源太。」
 丈瑠は立ち上がり、いつの間に出したのかシンケンマルを持って源太の後ろに立つ。
「安心しろ峰打ちだ。…念の為、神に祈る時間をやる。」
「いやいやいや…前半と後半が噛み合ってねえよ…。」
 しばらく沈黙が流れる。
「…すいませんでした。」
 降参した源太に丈瑠はシンケンマルを下ろし、部屋から出る。
「あ、殿さま?」
「お前たちはまだ休んでろ。」
 そう言い残して去ってしまった殿様の後ろ姿を、五人の侍が見送る。


「ね、何があったの?」
「あれか?またおもらしとかの話し?」
「いや…えっと…んー…。」
 いつもきっぱりはっきりしている源太にしては珍しく、視線が泳ぐ。
「どないしはったんですか?」
「は!まさか殿の勇姿を独り占めに」
「あのな。…むっかしの話なんだけど。この辺で結構ハロウィン流行っててさ。ある年に、子供はみんな仮装して近所を回っていいって事にしたんだ。」
「ふんふん。」
「で、話はそのもうちょい前に戻るんだけど。」
「え?戻るの?」
「ちょっとな。で、ハロウィン前には丈ちゃんクラスで浮いててさ。」
「浮いてる?殿さま、空を飛べはるんですか?」
「いや…馴染めていない、という意味だろう?」
「ああ。ま、当たり前っちゃ当たり前なんだけどな。両親いないし黒子ちゃんとかいるしなんてったって殿様だろ?」
「気にくわない奴がいてもおかしくない、ってか。」
「まぁ、子供だし素直よね。」
「で、うっとおしいガキ大将とかいてさ。いっつも丈ちゃんを目の敵にしてくんの。ま、俺が助けてやってたけどな。」
 ちょっと自慢そうに言ってから声を潜めて、源太が続ける。
「ハロウィンにそのガキ大将が丈ちゃん脅かそうとして屋敷に入ってきたわけよ…。」
「…それって不法侵入じゃね?」
「ま、子供だし。俺もやってたし。でさ、丈ちゃんお化け嫌いだろ?びっくりしたからつい…」
「「「「つい?」」」」
「持ってた木刀で思いっきり突いて病院送りにした。」
「あちゃー。」
「殿さま、そんな頃からお強かったんですね!」
「まーソイツ嫌われてたし、俺らは正直ざまあみろって感じだったけど…」
「殿…!悪いのは全て相手方!殿に非など」
「そう言うわけにもいかないでしょ。怪我させちゃったんだから。」
「まぁ、ソイツの親も笑って許してくれてたし、怪我だって大したことなかったんだけど…。そっか…丈ちゃんまだ気にしてんのか。」
 五人はなんとなく、屋敷の庭を見つめた。


 丈瑠は庭で1人竹刀を振る。びゅん、と音を立てるそれは、一般人に避ける事など不可能だろう。
 先程の話で思い出した過去を考え、溜め息がでる。
「悪い事したよな…」
 いくら嫌いな奴だとは言え、何も得意の剣で突きを食らわすことは無かったのだ。苦手なお化けを演じられ、混乱していたことは間違いない…が。
「殿様失格だな。」
 本物と戦っておいて、作り物に驚いている場合ではない。
 そんな話をされて、笑われたりからかわれたりするのは別に良かった。でも、人を傷付けた殿と、軽蔑されるのが怖かった。


「とーのーさーまー。」
 稽古の手を止めた丈瑠に、白い布を被った何かがゆらゆらと近付いて来る。
「…何してるんだ?ことは。」
「あれ?なんでわからはったんですか?」
 布の下からはきょとんとした顔のことはが出て来る。
「そりゃあ声出したらわかるだろ。」
「『殿さま』なんて言ったら余計にね。」
 障子の向こうから現れたのは、千明と茉子。
「流ノ介!源太!いくら丈瑠でももう怖がらないと思うよ。」
 茉子が丈瑠の後ろに向かって声をかける。と、後ろの茂みがガサガサと動いた。
 振り向いた丈瑠の顔が一瞬引きつる。それほどに、流ノ介と源太の『幽霊』は…リアルだった。
「明るい所で見ても怖いな2人共。」
「千明!怖いとはなんだ怖いとは!お前がやれというから私は」
「いやー、やっぱ血糊まで使わなくても良かったと思うぜ…。ことはちゃん、クレンジング取ってくれね?」
「えっと…これですか?」
「ことは、それドウラン。」
「お前達…何してるんだ?」
 わやわやとメイクを落とし始めた二人と手伝う三人に、とりあえず丈瑠が声をかける。
「ごめんね、丈瑠。ハロウィンの思い出、源太から聞き出しちゃった。」
「そんな昔の話今さら引きずるなって!」
「いや、それを千明が言うか?」
「殿!我々と共に、新しいハロウィンの思い出をつくりましょう!」
「殿さまも仮装しませんか?えっと、カラカサとか、座敷童とか!」
「童って年じゃないし…あ!塗り壁とか?」
「いやいっそ一つ目小僧だろ!」


 とれかけのメイクが変だとか。
 ハロウィンじゃなくて仮装大会だろとか。
 そんな事がどうでもよくなるくらい。
 嬉しかった。


「ハロウィンは外国の祭りだろう?ならなんで日本の幽霊ばっかり演るんだ。」
 言いたい言葉とは違ったが、丈瑠はそう切り出した。
「あーそりゃまあそうだな。」
「ほんまや!」
「うし!じゃあ次は外国のお化けシリーズでやろうぜ!茉子ちゃんが魔女でー、流ノ介ヴァンパイアな!」
「な、私のどこが!」
「あら、似合いそうじゃない。じゃあ千明が狼男でことはは…猫娘?」
「んじゃ、源ちゃんがフランケンシュタインで丈瑠がミイラ男!」
「な!千明!ミイラ男などでは殿の美しい御姿が拝見できないではないか!」
 ワイワイと話し出した5人に、丈瑠は一瞬だけ笑みを見せる。
「俺まで仮装させて、誰を脅かす気なんだ…。」
「あら?丈瑠知らないの?日本風のハロウィンはtrick or treatよ?まあそもそもの意味はお盆みたいなものだけど。」
「へー。姐さん物知りだな!」
「ほんならやっぱりこの白いお化けでええんちゃう?」
「いやそれ違うってことはちゃん。怖くねえもん。」
 ああでもないこうでもないと仮装の話に盛り上がる侍達の真上には、秋晴れの空が光っていた。

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