月草雑記帳

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創作文章(その他)


七色短冊の夕べ 10話(最終話)


よかった!今日中に終われました!!
「七色短冊の夕べ」最終話です!


前回明らかになった衝撃(?)の事実。
「なっちゃん」と「ゆうちゃん」の関係。
気付いてた人っているのかなあ?
二人の名前の頭文字取ると「七夕」になっててすごくわかりやすかったとは思うんですが。
そして実はこの話、こんな話じゃなかった(笑)。
ていうか最初ザワなんていなかったし!お前が出てきたから話が長く…!!
でも結構お気に入りキャラ。良い子。
タケだけじゃ話が進まなかっただろうしね~。後悔はしてないぜ。
そしてヨッシー&コーノの雑魚キャラ感が半端なかったね。もう出番ないけど(ええー)。
多分初めてまともなオリジナル学園物書きました。結構楽しかったです。


では、伏線を三つ四つ拾いつつ、風呂敷畳みつつ。
最終話、よろしければお楽しみください。




…余談ですが、「ひつじのくに」に載ってる素敵七夕小説と一瞬リンクしかかった。いろいろ危なかったです。







『七色短冊の夕べ』 10話


太陽が西に沈むころ。
鈴木七実と鈴木夕花は、二人そろって会場に来てくれた。
「あ!おーい!」
ザワが大きく手を振る。二人がそれぞれらしく、手を振り返してくれた。
「梅沢くん、と、竹田くん。」
「わざわざ来てもらってごめんなー。」
「それはいいんだけど…もしかして二人って」
「とにかく、こっち来てくれない?」
二人が何か言いだす前に、俺達はそろって会場の中に入った。
一応チケットらしきものはあるとはいえ、基本無料だし、準備から手伝ってる俺達は既に顔パスだ。
どんどん奥へと進んで、目当ての場所にたどり着いた。
「「うわぁ…。」」
二人が声をそろえてソレを見上げる。タイミングがそっくりだ。
「こんなんで合ってたっけ?」
多分沈黙に耐えきれずに、ザワが言いだす。
「うん…。」
「やっぱり、ハル君とケン君だったんだ?」
あ、向こうも気付いてたんだ。
「約束、守れてよかった。」
ソレの前で、俺は安堵のため息をついた。


俺とザワと、ゆうちゃんとなっちゃんとの、約束。
『今度、二人に会う時までに、こういうの、かいてあげるね!』
ソレは、大きな絵だった。
模造紙の右上から左下に川がある。それは上の方は水だが、下の方にいくと天の川に変わる。
右の端には太鼓を叩く二人の少女。そして、その対岸には和服の女性が二人。
勿論モデルは、鈴木七実と鈴木夕花だ。はっきりと顔がわかるようには描いていないけど、よくみれば気付いてもらえるだろう。
そして何もない河原に、達筆な筆文字が躍っている。勿論、ザワが書いたものだ。
正直俺にはなんて書いてあるのかさっぱり読めない。万葉集の歌を書くとか言ってたから、多分書いてあるんだろう。
昔、彼女たちと一緒に遊んだあの日。
一番目立つ場所に飾られていた、絵と字が混じった水墨画。
それに色を付けたらもっと綺麗だろうと言ったのは誰だったか、もう思い出せないけど。
「七夕踊り」に参加した二人が可愛くて綺麗な踊りを見せてくれたお礼に、俺とザワで絵をプレゼントする。
それが、俺達の約束だった。
「ケン君、ハル君。」
俺とザワがほぼ同時に声の方を見る。
二人の少女が笑っていた。
「「ありがとう。」」
なんていうか、すごく、嬉しくなった。


「でも驚いたな~。まさかまた会えるなんて。運命かも、ね?ゆうちゃん。」
何度もお礼を言われて照れくさくなった事もあって、俺達はそろって喫茶コーナーに移動していた。
「でも、よく気付いたね。私となっちゃんのこと。」
「ああ、誕生日とかで。昔言ってただろ?七夕が誕生日だって。」
ザワがしれっと言って見せる。実は結構大変だったんじゃないのか?
「高校入ってから、隠してたの?双子だって。」
「別にそういうわけじゃないんだけど…。」
「なんか、言いそびれちゃったんだよね。」
二人が顔を見合わせる。似てると言われれば似てる気もするけど、そっくりってほどでもない。
これじゃ、言われない限り誰も気づかないだろう。
「ケン君とハル君も、ずーっと仲良いの?家近いとか?」
「いや?結構遠いよな。」
「うん。小学校も中学校も別だし。」
「よく今も仲良しだね。」
ふたりが不思議そうにこっちを見る。
俺達は顔を見合わせる。まあ…良いか。
「いや、俺実はタケの弟なんだ。」
ザワがさらりと言う。
「「…弟?」」
まさに双子、というタイミングで声が揃う。すげぇな。
「え、でも、双子じゃ…ないよね。確か。」
「うん。俺が4月生まれ、ザワが3月生まれ。同じ学年だけど一年近く誕生日違うんだ。で、親が離婚して別々に暮らしてる。」
高校の友達に黙ってたのは追求されるのが面倒だっただけなんだけど…やっぱりまずかったかな?
「そんなことってあるんだね。」
「うん、まあ。」
『ゆうちゃん』の問いに俺は曖昧に答える。
「なんで名字で呼んでるの?」
「なんか高校入ったらそう呼ばれてたから。」
『なっちゃん』の問いにザワがあっさり答える。
「どっちが…えっと…」
「俺が親父のトコで、タケが母さんのトコ。ちなみに、親父はこのイベントやってる会の会長。」
「え?そうなの?」
「うん。だからアレも締めきりすぎてから出展できたんだ。」
それからしばらく質問攻めだった。こっちもいっぱい聞きたい事とかあったのに。
やっぱり言わなきゃよかった?とザワに目で聞いてみる。
ザワが苦笑して見せて、それからまた会話に戻る。
尽きる事のない話は、辺りが暗くなるまで続いた。


「なっちゃん。そろそろ帰ろっか。」
『ゆうちゃん』が立ち上がる。『なっちゃん』と俺、それにザワも立ちあがって、会場の外に出た。
ずっと降っていた雨は小ぶりになっている。
「あ、最後にひとつだけ。」
『なっちゃん』はそういうと俺を見た。
「ね、ハル君。私の絵はさ、この間美術室で描いたの?」
「うーん…正しくは、それ見ながら家で描いた、かな。」
流石に美術室であのでかいやつはね。
「じゃあさ、ゆうちゃんは?どうやって描いたの?」
「へ!?」
『ゆうちゃん』と『なっちゃん』がこちらを見ている。
ザワが今にも笑いだしそうだ。俺は答えを探して空を見た。
「えっと…。」
どうしても答えが見つからない。
本当のことなんて、言えるわけがない。
再会したあの日から、姿が目に焼き付いて離れなかった、なんて。
夜空に光る星々に、助けを求めてみる。
あいにく、今日は星が見えなかった。
仕方がないから曖昧に笑ってごまかす。


今日は、七夕。
小難しい話は後回しにして。
とにかく再会を喜ぼうぜ。
空の上の、彦星と織姫のようにさ。


二人を駅まで送る。俺は定期を持ってないし、ザワは親父と一緒に帰るからここでお別れだ。
「じゃ、また学校で。」
「うん、気をつけてね。…鈴木さん。」
俺がそう言うと二人がちょっと黙って、それから片方がもう片方にひそひそと耳打ちをする。
「「?」」
耳打ちされた一人が、少しためらいがちに言う。
「『ゆうちゃん』でいいよ?」
「ややこしいもんね、鈴木さんじゃあ。」
「おう、じゃあまたな、なっちゃん、ゆうちゃん。」
ザワがまたあっさりと言ってのけた。…なんかもう、これ、はめられてないか?
「…気を付けて、なっちゃん。…また学校で。ゆうちゃん。」
ゆうちゃんとなっちゃんが笑う。笑い顔は、とても似ていると思った。
「「また明日!」」
二人の舞姫は、改札の中へと歩いて行った。
「じゃ、帰るかハル兄。」
「…何懐かしい呼び方してんだよケン。」
「いいじゃん?で?やっぱりゆうちゃん狙いなわけ?」
「…うるさいっ!!」
ザワに追及されないうちに、俺は家に向かって走り出した。
「タケー!また明日なー!!」
ザワが背中越しに声をかけてくる。俺は片手をあげて返事した。


約束を果たしたら、終わりだと思ってた。
でも、違った。
約束を果たしたらそれは再会でまた続いてく。
また、会える。
七夕伝説の二人のように。
それが嬉しくて、しょうがなかった。
「…あの二人も、ずっと一緒にいられたらいいのにな。」
そんな事を考えながら、家に帰った。
明日は、どんな事を話せるだろう。
とりあえずきっと、いい日になるだろう。

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